Stranded Pearl

最近KKKに関しての本を読んでいるのだった。

私にとっては何故かKKKというのは一種のオブセッションのようにイメージが脳内にあって、それは頭巾姿で火の回りを回っている、という非常にシンボリックなものなのだけれども、そういったイメージと黒人を残虐な方法で殲滅せんとしていた、という活動の内容がどのように結びつくのだろうか、というのが常々(そう、本当にことあるごとに)頭の中を巡っていたりしたのだった。

ということで古本で昭和44年に出たドキュメンタリー本を読んでいるのだが、なるほどなあ、南北戦争ね、とか色々わかってきたのである。wikipediaなぞでも結構詳しく順を追って説明されていてある程度わかりやすかったのだが、こうして具体的な話を出されて述べられると、なるほどなるほど、という思いと共に「差別」って奴の根深さを感じさせられるのであった。

という風にまるで優等生の感想文のようなまとめになってしまってはアレなのだがまあ、しょうがない。ただ、KKKは黒人のみならずユダヤ人やカソリック教徒、なども迫害の対象にしていて、要は異文化排斥の極端に激化した版なのか、という感想もあるのだが、ナショナルフロントなどが極右と解釈できるのに対して、何だかKKKの方はもっと個人個人の妄想が強まってしまって悪化してしまって集団的な暴力になっているような感じである。まあ、要は思想とか宗教とか、もしかしたら全て幻想(ヴィジョン、というか)から始まっているのかも知れないのだけれども、それが醜く変化していくと「差別」と合体してしまって結果暴力的な排斥、という実際の動きになってしまうのかも知れない。

「差別」とか言うとちょっとすぐにはピンと来ないかも知れないけれども、寧ろその前段階にある「こいつらうぜえ」的な感情というものがもしかしたらまだ形を成していないものな故に実は最も危険なものなのかも知れない。例えば夜近所のコンビニに車高の低いアコードワゴンで明らかに酔っ払った風情で乗り付けて、酒の陳列ケースのドアをバタンバタン閉めて店員の女の子に絡んだりする、汚い茶髪の男3人組とかをうぜえ、とか思ったりするのだが(誰しもそうであろうが)、実はそういった感情をオーヴァードライヴさせていくと結果的に「インチキサーファー風の柄の悪い奴等を殲滅せん」とかいう団体が生まれる具合になってしまったりするのかも知れない。危険である。

人間誰しもがそういう感情は抱くものであろうが、それが膨れ上がっていくとそういう、それこそKKKみたいな(あちらにはもっともっとアメリカという国の複雑なご事情が絡んでくるわけだから一概に言えないのは百も承知なのだけれども)ものがボコボコ生まれてくるのであろう。もしかしたら既にここ最近の何だか荒んだ我が国の様子を見ていると、もうあるかも知れないな、とかいう気がして空恐ろしい。なんか最近歯止めが利かなくなっている世の中になってきているようだし。まあ何だか「過剰なのが良い。わかりやすいのが良い。」みたいな流れだからなあ。もしかしたら皆、その風潮を実は喜んでいるのかも知れないし、そうなったら皆KKKの代替品みたいな存在のものを実は気づかずに受け入れているのかも知れない。それでいて皆、教科書で習ったように差別はいけない、とか口先だけの言葉で述べ立てるのだ・・・。

でもね、実際上記のコンビニで出くわしたような奴等は本当にどうしようもないかも知れないから、ここは1つ大人の意見として団体を作って殲滅したりするのではなく、皆で連中が不幸な死に目に遭うように祈ろうではないか・・・。

何だか異常に好戦的に昂ぶった感じになってしまっているが、それは多分またしてもビールのせいだと思うよ。Giant Sandの「Provisions」を聴く。この名義での復活作である。以前はHowe GelbとCalexico、みたいなメンバー構成であったが最早今作では新生GSと言っても良いような感じで、デンマークのミュージシャンとHowe Gelbが基本のユニットになっている。レコーディングも各所で行われたようであるが、主にデンマークで行われたようであるし、結構今までの作品とは出来方が異なっているようである。しかしそれでも出てくる音は、いつもどおり、と言うと語弊があるかも知れないが、今までと同じように安心して聴けるカントリーのりの、と言うかオルタナカントリーとかいう阿呆な呼び方はやめた方が良いと思うのだが、そういう音になっているのだからうむ、信頼できる人間だなあ、Howe Gelbって、とかなるのである。加えて今作では女性ヴォーカルが華を添えていてIsobel CampbellとかNeko Caseとかが参加、更にはM.Wardもいたりして、何気にそっち方面では実に豪華メンバーによる作品なのである。P.J. Harvey(以前のカヴァー集Cover Magazineに参加していたりしたなあ)の曲以外は全てオリジナルであるが、かつてない程練られたメロディに、決して派手ではないけれどもグッと心に突き刺さる渋い演奏、加えてHowe Gelbの(実は私は名シンガーの1人だと思うのだけれども)歌声が相俟って、聴き応えのある作品に仕上がっている。もうすぐCalexicoの新作も出るいたいだし、またここらへんが面白くなってきそうである。