Shady Grove

車があまりにも汚かったらから洗車をしたら、やっぱり次の日にはざざざと雨が降るのであった。

前回洗った後は強烈な大雪に見舞われ、本当にあっという間に車が汚れまくってしまって閉口したものであるが、今回もこうなってくると最早慣れないことはしないほうが良いのだろうかやはり、と考え込んでしまう。若しくは雨が不足している際には雨乞いなぞよりも手っ取り早く、私が車を洗ったりしたほうが良いのだろうかやはり、などとどんどん自虐的になっていくのだった。

まあそれは良いのだ(あまり良くはないのだけれども)。ということで洗車したのだが、セルフガソリンスタンドにある、自動洗車機を私は使うことが多い。これはあの、運転者は車に乗ったままで、たくさんブラシがついていてスイッチでごわーと動いて水だの何だのどばーと出て車全体を洗いまくる、というものであるってこんな表現で伝わるであろうか。ほらあの映画「007 美しき獲物たち」(主題歌はDuran Duran)でGrace Jonesがロールスロイスの中で運転手を殺すじゃないですか、あの場面で出てくるような・・・。

まあ良い。私がそれで車を洗って近くのスペースで車の水滴やらをふき取っていたのだが、突如きゃーという女性の悲鳴が洗車機のところの車の中から聞こえてきた。見るとその洗車マシーンに飲み込まれていく、窓ガラスの思いっきり開いた軽自動車が・・・。あまりと言えばあまりの事態に私はなす術もなかったのだった。って窓くらい一番大事なことなんだから閉めろよなあ、という思いと、あの勢いよく出てくる水だので車内びしゃびしゃになるってどういう気分なんだろう、という思いで一杯になるのであった。

恐ろしいことは身近に潜んでいるものである。Mudcrutchの「Mudcrutch」を聴く。デビューアルバム、というか再結成盤というか。要はTom PettyがThe Heartbreakers結成以前に組んでいたバンドが、The Heartbreakersの主要メンバー2人(Benmont Tench, Mike Campbell)と当時のオリジナルメンバー2人と共に突如再始動させてしまってこのアルバムが出来あがったわけである。謎っすねえ、とか思いつつも聴いてみたのだが、これがですね実に素晴らしいのである。カントリー色が実に濃厚で、その中で豪快にドライヴするロックンロールナンバーがあり、トラッドナンバーがあり、The Byrdsのカヴァーがあり、という何だかボケようのない世界なのである。Tom Pettyがメインでヴォーカルなわけで当然ながらThe Heartbreakersの色は濃いし、実際時折見せる繊細な感じなどは相通じるものがある。しかしもっともっとアーシーな感じで、The Flying Burrito Brothersみたいである。と思ったらFBBのメンバーの弟がいるのだね、これがまた。そう、共通して言えるのは、どんなにアーシーなカントリーロックをやっても決して泥臭くなったりしないわけである。なんだか最近カントリーものばかり聴いているように思えるのだが、そんな私にど真ん中の傑作である。しかし今後はThe Heartbreakersと並行して活動していくのだろうか。