Puppy Toy

何だか最近身体がなまってしまったのではないか、とか日々思いつついる私なのである。

ではかつてなまっていなかった頃などあるのか、と問われれば素直に言えばなかったわけであるが、何だかしゃきっとしたいという気持ちもあり、何かしたいものだ、と思っていた矢先に、袖を捲り上げたTシャツに短パンで近くの土手を朝っぱらから走るおじいさんを発見、これだ!となったわけである。

何がこれだ、なのかいまだよく分かっていないのだが、なんだか走ったら良いのではないか、となったわけである。仕事が早く終わってまだ明るいうちにでも走れたらどんなにステキなことか、よし今日は仕事を早めに切り上げてぱぱっと帰って走ってみようではないか、となったわけである。そういえば何だか何かに復讐するためじゃないのか、という勢いで走っている友人もいるわけだし、ランナーズハイという言葉がわかった、と言っている友人もいる。それはステキではないか、何だか人生変わるんじゃねえの。よし!となったわけである。

が、結局仕事も普通に遅くに終わり、結局ビールのんでこうやってPCに向っている、という案の定、な結末を迎えた今日である。今度こそ仕事が早く終われば・・・。

こうやって実行が遠のいていくのか、という禍々しい予感で一杯の最中Trickyの「Knowle West Boy」を聴く。久々の新作である。というか私がTrickyの音楽に触れるのも実に久々である。多分、DJ MUGGSとの共演盤Juxtapose以来ではないだろうか。私の中ではファーストMaxinquayeはいまだに大好きなのだが、それ以降のアルバムはちょっとなあ、という感じであったのだが、店先で試聴してみた今作では何か吹っ切れたような感じがして。こうやって今聴いている。そう、彼の音楽では混沌とした具合と絶妙にバランスの取れたポップ具合、というか割り切れる感じ、のせめぎ合いみたいなものが大好きだったので、その微妙なバランスがどんどん混沌とした具合にシフトしていってしまったような気がしていて、それで離れていってしまったわけである、今思うに。それが今作ではDominoレーベル(!)に移籍しての第一弾ということもあるのか、何だかラガ調だったり何だり、と結構ヴァラエティ豊かなのだが、こちらにがつーんと殴りかかってくるような勢いが復活して、実に聴いていて盛り上がる。決してポップな作品というわけではないのだけれども、変な靄が晴れたように有無を言わせぬ迫力が漲っていて素晴らしい。女性ヴォーカルとTrickyとの地を這うような、そして微妙にズラしたデュエットぶりも健在で興奮する。ところで、最初はクレジットも何も見ずに聴いていて、今作では結構ギターが目立っているなあ、前もMarc Ribotが参加していた作品もあったけどここまでではなかったよなあ、とか思っていたら、プロデュースはBernard Butlerだった!!!!最近彼が手がける作品多いなあ、と思っていたがまさかここまでとは・・・。加えてなんか聴いたことあるなあ、格好良いなあこの曲と思っていたらKylie Minogueの「Slow」のカヴァーだった!!!!という二大驚愕の事実が発覚して唖然としたのだった。まさかあのTrickyがBernard ButlerプロデュースでKylie Minogueのカヴァーやっちゃう時代が来るとはなあ、と思わず遠い目。傑作である。