Almost Blue

先ほどスカパーをつらつらと見ていたらPrimal ScreamのPV特集をやっていて、夕食後の食器洗いのひと時、最近の彼等のPVはさほど面白くないけれどもまあ良いか、と見るとも見ないともなくつけっぱなしにしていたのであった。

最新シングルのPVが流れ、なるほどこういう曲なのか、と思っていたら最後に番組独自の広告が出たのだが、"PRIMAL SCREAM NEW ALBUM 「SCREAMADELICA」Now On Sale!"と、アルバムジャケットScreamadelicaと共にどーんと出た。どーんと、である。

「Screamadelica」。確か私が高校2年生の時に買った記憶があるから91年の作品である。そうか、ニューアルバムなのか。今は91年なのか。そういや先月には私の中の時間が80年代だった期間もあるからそれもまあ頷けるわな。と思わず時間軸がぐにゃぐにゃになるような感覚に襲われたのだが、これ、この広告出した人間、減俸処分になったりするのだろうか。

しかしかつてない衝撃的な間違いすぎて、逆になんか意図があるんじゃないか裏があるんじゃないか、と勘繰りたくもなるのは私が性悪だからであろうか。まあ、そんな思いもあるがJimmy Scottの「Holding Back The Years」を聴く。1925年生まれのジャズシンガーの98年作品である。彼の場合、病気のせいで身長が伸びることも、声変わりすることもなくなってしまったわけであるが、お陰で奇跡的な声を聞かせてくれるわけである。あまり私が明るい方面の音楽ではないのであるが、そうだ、「ツイン・ピークス」でまず彼のことを知ったんだっけなあ、と急に思い出した。このアルバムはBoy George、Bryan Ferry、アルバムタイトル通りSimply RedElvis Costello、PrinceというかThe Familyというか「Nothing Compares 2U」、Elvis Costello、という原曲知っている曲のカヴァーが多数収録されているし、彼の声は昔から好きだったし、ということで聴いている。名バラードシンガー、として知られる彼だけにもう余裕の技のような世界で、完璧に彼の曲になってしまっているのである。原曲をかなり聴き込んできた楽曲ばかりなので最早譜割りとかも完璧に私の頭の中には叩き込まれているわけで、逆に彼の実に独特の崩し方というか、譜割りの変え方によって、全く違う曲みたいに聴こえるわけである。とくにBryan Ferry「Slave To Love」のカヴァーは何だか感動的である。彼の持ち歌も収録されているが、それも全く違和感ないわけであるね、私のような若僧が言うことでもないのだけれども。ジャズヴォーカル、とかいう世界は私には縁遠い世界ではあるのだけれども、そんなバリバリの門外漢である私もがっつり楽しめるのは上で述べたようなカヴァー曲が良いから、とかそういう理由だけではなくこの完璧な声のせいなのだろうな、と素朴に思った次第である。災い転じて福となす、ということなのだろうか。失礼な話なのであるけれども。