Ordinary, I

ということで歯医者通いが続いている。

先週行った時の最初のカルチャーショックみたいなものは薄れ、今では治療に専念してばんばん治してくれ、という思いで一杯である。だから2日連続で行ったりとかしても平気である。色々してくれるお姉さんもステキだし、とまとまれば良いのだが、今まで欠損していた部分に新たに金属が入ったり、新たに削られたり、ということが続くので、口の中の地形変化が著しいのである。お陰で喋るときに口の中を噛んでしまったり、何か物が挟まったか、と思いガムを噛んで取ろうとすればそれは新たにはめ込まれた金属だったり、とアクシデントの連続である。まあこれは慣れの問題なのであろうが、20年間慣れ親しんだ我が口内環境の変化に、私が順応できる日は果たしていつ来るのだろうか。

そして毎回1000円以上かかってしまうので結構財政的にブルーになったり、実家から程近い歯医者なので待合室でばったり実家の父親に会ってしまったり、とまだまだ何だかんだ言って落ち着かない日々である。

とか言いながら夕食に鯵の南蛮漬けを食べたら案の定想定外の場所に鯵の骨が挟まったりして、難儀しているのだった。嗚呼、安らぎはいつ・・・。ということでJonna Leeの「10 Pieces, 10 Bruises」を聴く。スウェーデン出身の女性シンガーソングライターのデビューアルバムである。世間的にはFeistとの比較で盛り上がっているようであるが、なるほど確かにそれは頷ける。声の感じもどこかクールな感じだったりするし、曲もメロディアス、アクースティックなだけではなくエレクトリックもバランスよく入ってきて、そしてまるで全体にブラッシングをかけたかのような滑らかなサウンドプロダクションが施され、となるほどなるほど、となってしまうわけである。でもこちらのJonnaさんの方がよりオーソドックスな魅力に溢れていて、それこそより濃厚に60年代ポップスの香りを感じることもできる。しかしこの曲反則だろうー、と思わず身もだえしてしまうほどのツボを押さえたアレンジとかメロディが本当に次から次へと現れてきて、かなりの完成度である。デュエットやプロデュースでEd Harcourtが参加し、Supergrassのドラマーも絡んだり、と地味な話題もあるのだが、このアルバムを覆うメランコリックな感じは何よりも聴きものであろう。ちなみに私はFeistというよりは、部分的にIvyとかAimee Mannを想起させられた。しかし勿論それは似ているとかフォロワーとかいうわけではなく、つまるところ間違いない音楽、ということの裏づけなのである。蒸し暑くて不快だったり、口内の違和感のせいで落ち着かなかったり、仕事のマザファカなことでイライラしたり、という日々に、Bon IverFor Emma, Forever Agoと共にちょっとした風を吹き込んでくれるアルバム。