Hang On To Yourself

こないだまたパスタを作る機会があったので、トマトを横に真っ二つに切って塩コショウして、オリーヴオイルをフライパンに敷いて強火で焦げ目がつくまで焼いて、これまたゆでて塩コショウしてオリーヴオイルであえたパスタにのっけて崩しながら食べた。

何と単純でバカみたいな料理だ、とか思われる向きもあるだろうが、これが全身戦慄が走るくらいに美味しかったのである。やはりトマトに火を入れると違う。甘味も増し香ばしく、良い具合に酸味が利いて、どんだけ旨味が出てるのや、というくらいになるのである。ぎゅっと凝縮された味になっているドライトマトも大層美味しいものであるが、それに近いくらいの味わいである。

深ぇ。野菜深ぇっすよ。とか柄にもなく勢いありまくりな口調で語りたいところである。生でも勿論美味しいのであるが、火を入れた野菜はやっぱり更に美味しい。もう今年の夏はトマト焼くことだけして暮らしたい。もうそれ以外はしなくても良い。

と断言したくなるほどの感動を得たのでDavid Bowieの「Live Santa Monica '72」を聴く。長らくブートでは出回っていた音源らしいが、この度箱入りで、おまけ写真付き、で正規リリースされたので聴いている。何でもラジオ放送された音源らしくとても音質は良い。時にピアノの音が聴こえにくかったりするものであるが、Ziggy期のDavid Bowieグラムロックでイケイケだった勢いがぎゅっとパッケージングされていて文句なしに素晴らしすぎる。それだけではなくしっとりアクースティックギター中心のコーナーもあったりして、70分超全然ダレない。選曲もほとんど「Hanky Dolly」と「Ziggy Stardust」からで(勿論「Space Oddity」とか「The Man Who Sold The World」とかもやってはいるが)、バンドも締まっていて本当に文句なしである。とくにMick Ronsonのギターがかなりのヴォリュームで入っていて、大爆発である。中には10分超に変身してしまったナンバーまであったりして、本当にこの時期のDavid Bowie(とそのバンド)って神懸かり的な感じなのかもなあ、とぼんやりと今更ながら思ってみる。Jack Brelの「My Death」やらVUの「Waiting For The Man」とかのカヴァーも聴けて実に楽しい。おそらくコアなファンの方は既に聴いたことある音源なのかも知れないのだけれども、そこら辺この箱パッケージングとかおまけ入り、というのはなかなか上手いやり方だな、とか思うのだが、それはそれとして文句なしに燃えるライヴアルバムである。皮のジャンプスーツに身を包んだ若きBowie氏の写真が拝めるだけでもアリだなあ・・・。