A Ghost Story

何だか最近ビールを沢山飲んでいるせいか、お腹がぷよぷよしてしまって、何だか太ってきたのかも知れない、とか思っていたら、去年の夏に買ったズボンがウエスト周りがきつくて入らない!!おーこんなマンガみたいなことって実際あるのかよ、と頭を抱えてその場に崩れこんで泣き叫んだ。

という上記のような夢を見て慌てて飛び起き、朝4時だというのに洋服箪笥から件のズボンを引っ張り出して履いてみて、余裕で履けたので安心してもう一眠り、という慌しい夜を過ごして迎えた朝は、何だか疲労感で一杯である。ついでに体重まで測ったら別に変わりなく、これまた一安心であった。

やっぱ酔っ払って眠ったりすると、もしかしたらそうでなくても、潜在的な恐れというものは夢に表れるのかも知れないなあ、と考えつつAtlas Soundの「Let The Blind Lead Those Who Can See But Cannot Feel」を聴く。KrankyのDeerhunterのメンバーのソロプロジェクトである。実に申し訳ないことにDeerhunter自体聴いたことないのだけれども、こちらの作品はKranky盤Let The Blind Lead Those Who Can See But Cannot Feelが出た時から気になっていた。しかしここに来て何と4ADからボーナスディスク付き、ジャケ違いでリリースされるに至っては黙ってはいられないものである。思えばKrankyからのStars Of The Lidの新作には4ADの創設者Ivoの推薦コメントがついていたりするし、意外にメンタリティ的にもサウンドの要素的にも共通する部分は多いのかも知れない。まあ、今Ivoは4ADからは離れているのだけれども。さて、この作品であるが、何だか凄く小さなスケールで、でもそのスケール一杯にやってみました、みたいな感じで実に過不足ない親密な作品に仕上がっている。1人で宅録しました(実際どうなのかは確認していないけれども)臭が濃厚で、内向的な感じではあるのだけれども、実に重厚に色々な音がレイヤーを作っており、その重なり具合に往年の4ADっぽさを見ることも出来なくもない。そして彼のヴォーカルも呟きのようで、メロディもあってないようなものなのだけれども、何だか突き放しているというよりはどちらかと言えば人懐っこい感じである。エレクトロニカっぽいといえばそうなのだけれども、それよりもギターの音色やら音の重なりとかの方の印象が強く、ある種の箱庭的サイケな、空気が濃厚である。何だか聴いている自分も取り込まれてしまいそうな、そういうひたひた感が実に気持ち良い傑作である。