How Am I To Be

一酸化炭素中毒、とかそういう類の中毒ではなく、嗜好品関係の中毒、というものはどういう状態のことを言うのだろうか、と常々思っている私なのだが、それは多分「一旦考え始めるとそれを実際に体験しないとどうにもこうにもならなくなる状態」なのではないか、というある程度の結論に達したのであった。

って別に大仰に言うことでもないのだけれども。例えば別に思いついたりしなければ全然吸いたい、とか思わないのにふと煙草・・・、とか思い始めるとどうしても吸いたくなったりする煙草、別に喉が渇いているならば水でも何でもあるはずなのに、ふとビール・・・、とか思い始めると飲まずにはいられないビール、など結構突発的にそういうものが思考の片隅にポッと現れた瞬間にいてもたってもいられなくなるもの、それが中毒なのであろう。

ちなみに上記の両者は立派にニコチン中毒、アルコール中毒、という恐ろしい名前がついているが故に洒落にならないのだが、その他にもふと思いつくと行きたくて行きたくてしょうがなくなるタワレコ中毒とか中古盤屋中毒とか、昨日も違う店で食べたにも関わらず、ふと思いつくと次の日にもまた違う店で食べたくなるラーメン中毒など、枚挙に暇がない、私の場合。あ、コーヒーもふと思いつくと飲みたくて飲みたくてしょうがなくなったりするからこれもカフェイン中毒と言えよう。しかし何故身体に良くないし懐に良くないものは、何故もこんなに甘美な誘惑で人を中毒に誘うものなのか。

でも一切こういうことに惑わされずに生きていける人もいるのだろうが、でもそういう人ってなんか人間らしくないよね、だから中毒上等じゃん、と無理やりに自己肯定したいぐらいに最近様々な中毒に悩まされ続けている私なのであった。

今日はタワレコ中毒の症状に襲われた。The Watson Twinsの「Fire Songs」を聴く。私は(そして多分大多数の人も)彼女等の名前を知ったのは可愛いJenny Lewis嬢のアルバムRabbit Fur Coatでだったのだが、これはセカンドアルバムにあたるのだろうか。まず何よりもリリースがVanguardからだったのでおお、となったのであった。私、VanguardといえばSandy BullにJudy RoderickにIan & Sylviaに、という古い人間なもので今様のアーティストが出しているというのは実に寡聞にして知らなかったのだった。申し訳ございません、と誰に対してだかわからないけれども謝ってみる。で、このアルバムであるが、やっぱり姉妹2人のハーモニーを生かした、フォーク〜カントリーテイスト濃厚な楽曲集で、非常に落ち着いた作りである。落ち着きすぎていて、あら、何かもしかしてこのまま終わってしまうの、とか一瞬寂しくもなったりしたのだが、そこにはマジックがあり、その落ち着いたサウンドにがっちりと絡め取られてしまって、そんな中でのちょっとした泣きのメロディとかが心に刺さりまくったりして、これは危険だ、とアルバムが終わる頃に気づかされてまたしてもリピート、となってしまうのである。裏ジャケの何か物憂げな2人の表情とかも含めてどことなくミステリアアスなイメージがあるのだが、音の方は人懐っこい、風通しの良い美しい曲ばかりなので何だか不思議な感じがしたりもする。でもそこには上に書いたようなリピート無間地獄への入り口があるのだった。ちなみにぼーっと聴いていて、あらこれは聴いたことが、と思って確認したらThe Cureの「Just Like Heaven」を思いっきり我流でカヴァーしているのであった。やられた・・・。