Shores Of White Sand


大きな地震が我が街に来ると、これまでも必ず心配のメールやら電話をいただいて、ありがたいなあ、と心から思うのであった。ありがとうございます。

と同時に、実は、大きな地震が来ると、まず「部屋は大丈夫か?」と思われる人の結構上のランクにいるんじゃないか俺、と考えるとなかなかに複雑な気持ちである。

とは言え、お陰様で無事です。地震が来た時には職場の階段を上っているところで、「ああやっぱりなんか疲れが溜まってるのかな、朝起きるのも大変だったし。なんか目眩と地鳴りのように耳鳴りがするなあ」と思っていたら地震であった。結構立っているのも大変な感じで、かなり焦ったものである。

県の北部とかでは何か土砂崩れやら家屋の倒壊やら大変なことになっているようで、一刻も早い復旧や、災難に遭われた方の無事を願うばかりである。何か今回のはいずれ来る来る言われている宮城県沖の地震とは違うらしく、まだこんなのがあるかも知れないのか、と思うと陰鬱な気持ちになったりするが、まずは無事です、というご報告でした。

そしておそらく気になっている方もいるであろう我が部屋であるが、何も起きていなかったかのごとくにそのまんまであった。『ライフ・アット・スリッツ』LIFE AT SLITS ライフ・アット・スリッツが落っこちていたくらいであった。PIL「Metal Box」缶も、CoilのボックスとEinsruezende Neubautenボックスにがっちり挟まれており無事でした。

ということでちょっと平穏な気分になってEmmylou Harrisの「All I Intended To Be」を聴く。久々の新作である。今回は3作ほど続いたDaniel Lanois〜Malcom Barn路線から離れ、バンドメンバーによるプロデュース、Dolly PartonやらKate And Anna MacGarrigleやらの参加、Tracy ChapmanとかMerle Haggardとかのカヴァー、と大分ルーツに戻った感じになっているのか、と聴く前には思っていたのだが、シンプルではあるけど、やはりあの3枚Wrecking BallRed Dirt GirlStumble into Grace
があったたからなのか、とてつもなく深みがある音楽になっているのだった。カントリーに戻っていくのかと思いきや、どちらかと言うとトラディショナルなフォークに近い世界が広がっており、ちょっと意外だった。こってりとした、重厚な空間処理(それも勿論良いのだけれども)が影を潜めた分、曲の良さや各楽器の音色がくっきりと浮かび上がり、とてもメリハリのついた作品になっているし、そして相変わらずの彼女の声。これがやはり若い時から唯一無二過ぎて強烈であるが、この節回しがあればまあ間違いないよね、とかいう単なる戯言でまとめそうになってしまう。全13曲で決して軽やかな作品ではないのだけれども、飽きずにじっくりと聴ける。そういえばジャケもこういう感じは意外であるが、このジャケのような空気の中で感じられるほのかな暖かさが満ちたアルバムである。