Mister Jung Stuffed

そういえばこの間通販で頼んでいたレコードが2枚届いたのであった。

1枚はSpiritualizedの7インチSoul on Fire(リンクはCDシングル)で以前も触れたのだがB面のDaniel Johnstonの「True Love Will Find You In The End」が気になりすぎて気が狂いそうだったので通販して、ついでにもう1枚買ったのである。さて、問題のカヴァーはライヴらしく、アクースティックギターにほわーんというシンセ、そして女性バックヴォーカル、という感じで実にまっすぐなカヴァーであった。勿論良い。Spectrumのヴァージョンと比較するのは意味がないこととわかっているのだが、このカヴァーの解釈の違いが各々の今出している音の傾向としてはっきりとしているなあ、としみじみとしたのだ、ってSpectrumの方はもう16年も前の録音なのであるがね。

で、もう1枚はBlonde Redheadの7インチなのだが、これが大問題で。片面1曲しか入っていないのはまあ良い。問題は盤質である。かけたら反りまくりで、ただでさえぐにょーんという音がぐっにょーーーーーーーーんという感じで、しかも途中で曲のテンポまでが遅くなったりする恐怖音楽に成り下がっていた。おいおいおい、いくら今配信の世の中と言えども聴けないレコードでは意味がないだろう、と思いなんだか怒りに任せてレコードを逆に反らせたり色々力を加えていたら、何と直ったのである。直って良かったのは良かったのだけれども、それ以上に、そんなに簡単に反りが直るような柔らかいレコードで良いのか、という不安に襲われてたのだった。ガラス板に挟んで、とかそういう奥の手に突入しなかっただけマシなのかも知れないけれども、そしてもしかしたら私の手がゴッドハンドみたいになっているのかも知れないけれども、今まで随分レコードを長いこと聴いてきたがこんな経験は初めてであった。

何だか衝撃の体験だったのでここに記したくなったのである。っていまだに何だか信じられないのだけれども。Man Manの「Rabbit Habits」を聴く。いや詳しくは知らないバンドなのであるが、Modest Mouseとツアーしていたり、ANTIと契約して最初のアルバム、ということで聴いてみたのであった。なるほど、確かにもっとがしゃがしゃしたModest Mouse的な感じである。ヴォーカルの具合も同じラインである。ただ、こちらの方が何だか何が起こるかわからない謎な部分が多い。Tom Waitsの近作(そういやANTIだ・・・)がそうであるかのように、落ち着いているはずなのになんだか飛び道具ばかり用意されている、みたいな。キャバレーミュージックが暴走し始めて結果的にロックンロールと合体したみたいな、そういうありえない感じがここにはある。キャッチーなフレーズは散りばめられているし聴きやすいのだが、どうにもこうにも濃い。なんか次に何が起こるかわからないわくわく感であっという間に聴けてしまうアルバムである。それでいてどこかユーモラスだったりするし、つかみどころがなさ過ぎて快感である。深いな、この周辺はまだまだ。