Savage Skulls

全くガソリンの値段が上がりに上がって、自動車ユーザーの私も、もう何だか大変である。

というここ最近であるが、この間ラジオ聞いていたら「ガソリンの値段が上がって大変だ大変だ言う前に、地下鉄沿線に住むとか、職場の近くに住むとかそういうことが必要」とかDJが喋っていたのだった!!!!!!!!!!!!!!

何と斬新な、というよりは何言ってやがるんだ、と。いやーびっくりしたのだが、もしかしたらこいつは、何か暫定税率を復活させて無駄遣いの日々バックアゲインを願っていた政府の回し者なんではないか、という疑惑が拭えないままである。ここまで問題の本質を捉えずに他人事として片付けられる人間を私は他に知らない、と言いたいくらいに衝撃を受けた。

いや、それができるなら最初っからしているのだが、どうにもそういかないからこういう生活になっているんだろうに、と呆れたものである。で、いまだに呆れっぱなしであるが、そんな中今多分日本で一番硬派な雑誌『通販生活』(嘘だと思うなら読んでみたほうが良い。最早通販カタログというよりはそこいらのオピニオン雑誌顔負けの文章だらけで衝撃を受けるはずであるから)で、菅原文太が「せめて休みの日は車を使わないとか」ということを言っていて、嗚呼なんと現実的なんだ、と大いに感動した。なるほど、そういうものならば実行できそうだし、自衛、という言葉がよく似合う行動だなあ、と。

大体にして「トラック野郎」の主演俳優が言うんだし間違いないではないか、とか思ったりしたのだが。しかし冒頭のDJは一体どんな頭をしているのか。でもここ最近の日本では分かりやすくて大胆な感じが受け入れられているような感じだから、さもありなん、という気もする。そんなんじゃ日本は滅びてしまうぞ、とか思うのだが別に滅びたところでその方が良いのではないか、という気もうっすらしているのも何だかやるせない。

まあPadded Cellの「Night Must Fall」を聴こう。約10年くらい前、所謂ビッグビート文明が華やかなりし頃にその一派と目されていたBronx DogsのRichard Senの新しいプロジェクトフロムDCレコーディングスである。Bronx Dogsは何だか思い切りオールドスクールマナーながらもぶっといビートで凄く格好良かったし、いまだにDJの際にはレコードバッグに忍ばせて持って行ったりするくらい好きである。さてこちらのPadded CellはRichard Senだと気づかずに既に12インチを2枚くらい買っていた自分が怖かったりするのだが、ファーストアルバムなのである。こないだSly Mongooseのリミックスとかやってて、なるほどわかってんなー、とか感心したものであるが、このアルバムもディスコダブ、とかそういう便利な言葉を使ってしまいたくもなる音作りである。しかしこの地を這うようなベースラインと荒っぽい16ビートは、ESGとかそういうニューウェーヴ期のファンキーな音を現代風にビルドアップしたような感じで凄くしっくり来るのである。ギターが切り込んできたり、サックスが唸りを上げたり、そういうちょっとした飛び道具的なものの使い方もそうだし。ヴォーカル入りの曲も数曲あって、それはこないだのKill The DJからのアルバムThe Waiting Roomも素晴らしかったChloe嬢が担当していたり、何だか聞き覚えのあるマリンバとかパーカッションだなあ、とか思ったらLiquid LiquidのDennis Youngだったり、周到に外堀を埋め尽くした挙句にこちらにさあどうなのよ、と不敵に音を差し出してくるような、そういう図太い感じのアルバムである。しかし何だかこの全体を覆うダーク、というよりは地下で鳴っているような感じ、しかしそれなのにダンサブルな感じ、というのはAndrew Weatherallの最近の姿勢に近いのかもなあ、とか思っていたら、そういえば御大の最新ミックスCDWatch the Rideにも何気なく収録されていたのだ。何だか皆つながってきて不気味なのだが、そういう意味でも必聴盤なのではないだろうか、と思う。イケナイ興奮が身体を貫く背徳のダンスミュージック、なんて大袈裟に言ってみたりして。