Seu Pensamento

デパートの特設会場で行われる、地方物産展というのが私はべらぼうに好きなのだけれども、つい先日も北海道の物産展に行ってきたのであった。

毎度毎度、客の数が凄いことになっているのだけれども、今回もまたご他聞に漏れず、であった。しかしさあ、毎度毎度思うのだけれども、人が会計とかしていたり商品とか見ていたりする時に、割り込んできて試食だけして、すぐ去ってまた次のところで試食してまた去って、という奴等のメンタリティとか考えると、どうにもこうにも腹が立って仕方がないのである。そいつ等の下劣な人相とか見ていると、本当に腹が立って腹が立って仕方がないものである。

否、試食は良いのである。でもさ、人の前に割り込んで食ってまた去って、というのは一体どういう神経の持ち主なのか疑う。人がマジメに購入を考えつつ試食しようとしたりしているのに、さ。なんかただでさえ人が多くてげんなりしている時にそういう目に遭ったりすると、本当に激昂するもので、足でも踏んづけてやろうか、とかそういう殺意に近い何かを覚える私であった。

穏やかな市井の民である私の、日々のぼやきをたまには。まあでも良いのだ。そいつ等は多分バチが当たる。うむ。だから心穏やかにAdriana Calcanhottoの「Mare」を聴く。ブラジルの女性シンガーの新作である。女カエターノ、とかそういう呼び名も高い彼女の新作であるが、プロデュースがArto LindsayでゲストにはMarisa MonteにGIlberto Gill、そしてMoreno Veloso、とかそういうかなりの豪華メンバーによって作られた作品である。Marisa MonteのこないだのアルバムInfinito Particularにしてもそうなのだけれども、ブラジルの現代の女性シンガーのアルバムって、予期せぬ大傑作だったりするから油断できない。果たしてこのアルバムも予期せぬ大傑作なのであった。元々メインストリームでありながら、何か尖がった要素が強い彼女であるが、今作では非常にエレガントに美しいメロディを美しいヴォーカルで歌い上げる一方、突如プロデューサー様自らのノイズギターが切り裂いたり、とスリリングでたまらない。でも全体としては凄く上品で、落ち着いた穏やかな作品なのである。ただし、幾重にも織られた音の層が非常に深く、ちょっと一度入り込むと抜け出せなくなるものである。そして優しく穏やかであるけれども、どこか退廃的な香りがたまらない大傑作なのである。