Trace Essential

物事には勢いというものが必要だと私は常日頃から考えて止まない。ダラダラと惰性でやっているようなことは一度止めて、考えて、そしてもう一回弾み、というか勢いをつけてからやり始めるべきだ、と思うのであった。

今日私は遂に部屋の片付けに着手した。勢いをつけて着手した。例の「目をつぶってCD15枚選んでCDR20枚分のコンピを作る」というもう二度としないであろう大企画のために、机周りがCDの山、しかも何個も何個も山がある状態になっていて、いい加減鬱陶しくなって片付けたのだった。

それはそれで勢いが良かったのだが、我が家のCD棚は「CD連想ゲーム」もしくは「CD神経衰弱」とでも呼べるような、無秩序、もしくは私にしかわからない超うっすらとした繋がりで並んでいるので、元に戻すのが一苦労なのである。しかも枚数的にはギリギリ、というか寧ろ収まらない、という感じなのだから床の山を全て消すことはできず、また棚から新たに取り出したCDでまたもや新山が生まれたりして、全くもってカオス状態は収まらなかったのであった。

結果、片付けに挑んだ勢いはどうなったか、と言うと1時間後にネットで新たにCD棚を発注する、という勢いへと昇華されたのであった。昨年末からあんなに悩んでまだ買わず終いだったニューCD棚を、ほぼ突発的に今日この日に発注する、とは夢にも思わなかったものであるが、やはり物事勢いが大切だなあ、と思わされる出来事であった。

しかしその勢いは良かったが、果たして部屋のレイアウト的にどうすれば良いのか考えがまとまっていないうちの行動だったので、「勢い」が「無鉄砲」と読み替えられないように注意しなくては、と思ったりしたが後の祭りなのであった。

勢いも良し悪し、ということでJon Muellerの「Metals」を聴く。Collections Of Colonies Of BeesBirdsのドラマーのソロアルバムである。ドラマーのソロ、と言えばWilcoのGlenn KotcheのアルバムMobileもとても面白かったが、こちらのJonさんは本当に打楽器のみのソロアルバムなのである。つまりメロディ楽器なし、ということである。だから恐る恐る聴いてみたのだが、全3曲、飽きずに楽しめる。ひたひたと向こうからやってくるドラムロール主体の、何だか異様に緊張感のある、というか緊張感一本勝負みたいな曲から、何だかノイズまみれのブラスト、というか高速ビートをたたき出し、それがいつの間にかミニマルなドラムパターンへと変容していく曲とか、へヴィなビートがThis Heat(のファースト)みたいに思える曲とか、結構曲毎に表情がしっかりと付いているので全く眠くなったりすることはない。打楽器のみながら録り方とかも含めて1つの作品へと纏めているような感じで、打撃音のリヴァーヴとか響きも加工されてまるで何かの楽器を使っているかのように聴こえ、非常に奥行きの深い音になっている。