Everything You Say Will Destroy You

2008/03/25(Tue) -W- Monthly EVENT "AOBA NU NOISE+ZU Japan Tour"@SHAFT OPEN: 19:00~25:00 TICKET: ADV:2000yen(2Drink) / DOOR:2500yen(2Drink)

Guest BAND act: ZU, にせんねんもんだい
BAND act: -W- (waikiki champions), runny stools
Guest DJ: Casin (Gift Gimmick)
DJ's: EVOL(LOVE RECORDS), Masaya Omote

よろしくです!もうEVOLCDはこうなったらじゃんじゃん作ったるわ!的な勢いになってきてむちゃくちゃな目つぶり選曲が続いております。お楽しみに!

マイ・ブルーベリー・ナイツ」という映画を見てきた。ウォン・カーウェイ監督作品は実は(小声で)1つも見たことないのであるが、これはNorah Jonesが主演ということでサントラもゲッツしたことだし、公開初日に隙を突いて見てきたのであった。何でも触れ込みがロードムーヴィでラヴストーリー、とかいうことだったので、そういう方面に免疫のない私でも大丈夫なのだろうか、と若干不安ではあったのだが。

いやー、そういう触れ込みよりもずどーんと響く映画であった。まあ、全体を見れば確かに上記のような要素が支配している映画であるが、見終わった感じとしては、そういう全体的な枠組みよりも途中のエピソードがずどーんと重く響いて、何だか無性に切ない気持ちになった、というか寧ろ泣きたい気持ちになったのであった。

ラヴストーリー、なのである。しかもかなり「映画的」で、リアリティは若干希薄な感じの。しかし、あくまで「映画」を見たわけであるからそのことに関して揶揄するのは本当に愚の骨頂だと思うのでそれに関してああだこうだ言うのは全く興味はない。しかしそれ以上にNorah Jonesが旅に出た先でのエピソードが何故か物凄くへヴィに響く。死が絡み、愛が絡み、そこら辺は本当に洒落にならないくらいにへヴィである、と私は感じたのであったが、それは私が疲れていたからであろうか。でもそれだからこそ御伽噺のような、全体の枠組みになっているラヴストーリーが凄く救いのような色を帯びて存在しているのであった。良い意味でバランスが取れている、というか。

そして全体的にアップ多目、そして要所要所でスローモーションを挟み込むカメラワークも何だか、時に過剰だったりもするのだけれども、疲れたりもするのだけれども、あくまでこの映画を現実から2,3センチ浮いたところで纏めようとしているような、そういう印象を受けたりして、実はこのストーリーとカメラワークがお互いにバランスを取ろうとしているような、そういう気もしてきたのであった。

最初は、いやーベタなんじゃないの、とか気障っぽいな、とか思ったりもしたのだが、最後まで見ると、そういうベタさ、とか気障さ、というのはこの世の中を生き延びるためには必要不可欠なものであって、それを敢えてディフォルメしてここで2時間弱の中で表現しているのかも知れないなあ、という気さえしてきたのであった。そういう要素とか、上記のような「枠組み」がしっかりと救いとして存在しているからこそ、これはあくまで「娯楽」として成り立っているのかもな、とかそういう風に思わせられるくらい、まずはずどーんと来たのであった。

もし雑誌等に於ける、この映画の紹介文等を散々読んで、なんだかな、とか思ってしまって見る気が失せてしまった人こそずどーんと胸に響くはずなので一旦騙されたと思ってでも何でも良いから見ておくべき作品である、って何だか売り込みみたいになってしまったが、そういう勢いになるくらい染みる映画であった。

ちなみに上映が終わったら「何かビミョー」という女子の声が聞こえたのであるが、そりゃあ貴様みたいなガキにゃあわからんぜよ!!とか変に、思いっ切り主観的にまくし立てたくもなったりするもの、って全く分かち合えない勢いですかね、はい。

The Auteursの「After Murder Park」を聴く。96年リリースのサードアルバムである。もともとデビュー時期がブリットポップの勃興期と重なってしまったが故にドンドン反動的になっていって、しまいにはSteve Albiniプロデュース、という異常事態にまで突入してのアルバムである。これを最後に一旦The Auteursはお休みして他の活動がLuke Hainesのメインになっていくのであるが、まさにその臨界点を生々しく収めた作品である。とにかく何だか知らないが気が滅入るアルバムである、良い意味で(?)。歌詞のテーマのせいかも知れないし、変に感傷的なメロディのせいかも知れないし、突如爆発する生々しいギターリフのせいかも知れないし、もうがなり声、というかいっぱいいっぱいのLuke Hainesのヴォーカルのせいかも知れないし、それは一概に「これだ!」と断定はできないものである。しかし同時にこのアルバムリリース時期のせいもあるかも知れないが、何とも塞ぎ込みがちなこの季節、一番こちら側に寄り添ってくれる優しいアルバムであることも忘れてはならない、って極私的な話ではあるが。どんどん不吉さを増していってここまで達してしまったわけであるが、あくまで全体的に音の質感は硬派で乾いてはいる。しかしそれでいてどうしようもなく叙情的でもある。そこら辺の実にバランスが取り切れていないところがこのアルバムの、ひいてはこのバンドの魅力だったのである。そこら辺は一番良く出ているアルバムではないのか、と。そのバランスの変な感じを突き詰めていった結果、いまだに後半の流れはゾクゾクとさせられるくらいの凄味と切なさである。まあ、中古盤屋でもよく見るアルバムでもあるので、耳にできる機会は凄く多いのかも知れない。見逃し厳禁の異様な名作である。