Like Gold And Faceted

2008/03/25(Tue) -W- Monthly EVENT "AOBA NU NOISE+ZU Japan Tour"@SHAFT OPEN: 19:00~25:00 TICKET: ADV:2000yen(2Drink) / DOOR:2500yen(2Drink)

Guest BAND act: ZU, にせんねんもんだい
BAND act: -W- (waikiki champions), runny stools
Guest DJ: Casin (Gift Gimmick)
DJ's: EVOL(LOVE RECORDS), Masaya Omote

よろしくです!チケット取り置きご希望の方は是非ご連絡くださいorこちらから連絡します。

昨日は久々にビール飲んだら美味しくてもう1本飲んで眠くなって寝る、という自堕落の極みみたいな状態だったので更新できませんでした。

小西康陽の『ぼくは散歩と雑学が好きだった。』というコラム集ぼくは散歩と雑学が好きだった。 小西康陽のコラム1993-2008をここ最近ずっと読んでいるのだった。これはPizzicato Fiveだった彼のコラムをまとめたものであるが、べらぼうに面白い。音楽ネタ、レコード買いっぷりネタが当然あって、それは勿論面白いのであるが、それ以上に海外での話や買い物とか食事とか映画とか漫画とか本とか写真集とか昔の話とか、意外に広範囲に渡って色々書いているのであった。

そう、取り上げているネタはネタで面白いのであるが、何よりも彼の文章がとても面白い。基本的には若干イヤミな感じで捻くれた角度で物事を捉えたりする人なんだろうな、ということが文章の端々から感じられる。しかしそれが変に気取っていないから、実に自然だから、全く不快ではなく、寧ろ一回りして文章に深みを与えているような感じすら受けるのであった。とくに日々の出来事を日記風に綴っているものの中では時にネガティヴな感じで、時に淡々と色々な事柄について書いていて、しかもそこでの客観的な佇まい、というのが実に新鮮なのである。

そう、客観的なのである。たとえ自分のことであっても、感情で振り回されて書き散らかす、なんてことは決してない。まるで彼自身のことなのか、フィクションなのか、そこら辺の境界線も曖昧になってくるぐらいに客観的なのである。これは読んでいて、何だかペルソナを被って書いているような、そういう印象を受ける。それ故に、寧ろ超短編の小説を沢山収めているような、そういう気がしてくる本でもある。

音楽的には彼が買っているもの、というのはほぼ全く私とは被ったりせず、寧ろ知らないアーティストのレコードばっかりだから、そこら辺だけの興味では多分ここまで熱中して読むことは不可能だったのではないだろうか。これは音楽家、というよりは音楽に精通しているコラムニストの作品集、のような趣である。

そしてもう1つ、彼の書く文章には細かいディテールの描写や、ちょっとした気の効いた形容などが出てきて、それらを目にする度に何だか清々しい気分になってくる。時に気が効きすぎてキザだなあ、とか思ったりする部分もあるのだが、逆にそれが心地よい読後感を与えてくれるのである。果たしてこういう文章が書けたら人はどんなに幸せなものだろうか、と思わず羨ましくなった次第である。

私は音楽でも本でも、聴いたり読んだりすると何かしたくなったり、何かをした気分になったり、もしくは真逆で全く何もしたくなくなったりするものが好きなのではないか、と最近気づき始めたのだが、この本は間違いなく何かをした気分にさせてくれるし、更には彼が書いている物事がたとえ私などとは全く無縁のものであったとしても、がんがんにこちらの興味をかきたたせてくれる、という点でも私にとっては最高の本である。

Earthの「Earth 2」を聴く。何もしたくなくなる音楽である。タイトル通り93年にSub Popよりリリースされたセカンドアルバムである。もう終わっている音楽である。延々とギターとベースがもんのすごくおっそいリフを刻んだり単なるフィードバックノイズが延々と、本気で延々と続いたりするだけ、という、人によっては物凄く拷問なのではないか、と思わせられる音楽である。3曲しか入っていないのに72分ある、というのも鬼である。しかもリフだけでも飽きないように、とかそういう配慮は一切していないと思われるくらいに淡々と、何だか続くのだから性質が悪い。それでも最近よく聴いている。何もしたくなくなる音楽だから何もしなくても良いときに聴けば良いのである。ある意味至福の時に聴くべきアルバムである。昼間っからは決して聴けないが、夜になると俄然本領発揮する、という5時から男みたいな音楽である。しかも5時から男のようにアクティヴではなく、もうただ家に帰ってきてでかい図体を晒しながら寝そべっているような、そういう図太い音楽である。でもこんな音楽は今まで聴いたことのない衝撃でもあるわけで、「沈み込むようなへヴィネス」とかいう形容は色々なモノに対してなされてきていると思うのだが、そういう形容はまさにこのアルバムにこそ相応しいであろう。しかしこれは本当に凄いなあ。