Sax Rohmer #1

今更ながら『大人の科学』のテルミン特集号大人の科学マガジン Vol.17 ( テルミン ) (Gakken Mook)を買って、付属のミニテルミンを組み立ててみた。

実は、出た当初うおおおお、となったものの売り切れていて買えず、増刷した後にはすっかり出ているのを忘れていて、先日たまたま発見したのであった。何かな、熱しやすく冷めやすい、というか情熱が持続しないというか、物忘れが激しい、というか。

で、色々本自体の記事も面白そうだったが早速組み立ててみた。その昔ガンプラに背を向けて黙々と自動車プラモデルを組み立てていた私である。こんな接着剤も使わない組み立てキットだなんてお茶の子さいさいだぜ、と思っていたらそこには大きな落とし穴が。

という感じだと実に日頃のNag3っぽいのだけれども、残念ながらそうもいかず20分くらいで本当に簡単にミニテルミンが完成した。ちなみに説明書を見ながら、こんなに今の説明書は懇切丁寧で優しいのか、と感動した。だって本当に事細かに、指を傷つけないように、とかここのパーツは脆いので違う部分を持つ、とかそういう注意書きが本当に沢山あるのだ。昔のプラモデルは何だか気がつくと組み立て中に破損した、とかあったよなあ。否、プラモだけではない。今使っているターンテーブルにカートリッジを取り付ける時だって、何だか物凄い微調整が必要な箇所をさもこともなげに書いてあって、お陰で汗だくになって調節して挙句の果てにはパーツ壊したりしてそのパーツ注文したよな、とか思い出した。PL法とかいう奴のお陰なのだろうか。今の世の中は良いなあ、と思うと同時に過保護かも知れない、とか思ったりした。

否、そんな世相を斬りたいわけではなくテルミンである。ちゃんと音が出る。微妙なチューニングは毎回必要であるが、もう私の場合チューニングせずともびきゅーとかきゅおーとかそういう電子音が鳴り響くだけでたまらず、2段階調節できるヴォリュームの大きい音の方で鳴らしていたものである。しかしさすがに近所迷惑かと思い小さい音の方で鳴らしてみた。

しかしやはり楽器として使用するのが本来の使用法であろう、こんな効果音的に喜んでいてはいけないだろう、と思い直しドレミファの音階を鳴らしてみることになった。これが難しい。微妙なアンテナと手の間の距離で音階が余裕で変わる。フレットレスベースのフレットもない状態で音階を手探りでやっていかなければならないので泣きそうになった。しかし結局何だかんだいって、気持ち悪いピッチながらドレミファはできるようになった。で、今度は逆にドシラソとか下がってきたりしてみたが、こっちもかなり難しくかなり難儀したが、1時間後には音階上下はできるようになったのであった。

しかしこれで曲を奏でたりするのって、かなり神技だなあ、とか思う。多分本物のテルミンとかの方がもっと細かくできるのであろうが、原理は同じはずであるから難しそうである。しかしそれだけにチャレンジする価値はあるのか。嗚呼テルミン奏者になってみたい。

とかと夢見たりしたのだが、何だかんだ言って音階も出せたが、アンテナを思いっきりこすってびみゅおーとか高周波の音を出しているだけでもかなり癒されたりしたのだった。基本ノイズなのか、私は。

The Mountain Goatsの「Heretic Pride」を聴く。4ADからの新作である。思えば前作がついこないだだったよなあ、とか思っていたのだが結構快調なペースである。実は前作しか聴いたことない私である、名前はかなーり昔から存じ上げてはいたものの。で、前作が静謐で地味と言っても良いくらいにシンプルな音数にヴォーカル、というアルバムだったのでさて今作は、と思ったらイキの良いバンドサウンドでびっくりした。しかも半端ない開放感に満ち溢れた音楽である。普通にシンガロングしてしまいそうなイキの良い、印象的なメロディと爽快な演奏で前作とのギャップに驚いた。しかし実は結構歌詞の面とかでも新しい、というか前作とは違う方向性のアルバムのようで、なるほどそこら辺は歌詞を全部聞き取れなくても、ここまで音が違えば、という感じで納得である。それでも、どこか弱い(というと聞こえが悪いが線が細い感じ)感じはなるほど変わらない、という気がする。そして中心人物Johnのヴォーカルがどこかキメキメではなく、良い意味で抜けているように聞こえ、それもまたこのアルバムの風通しの良い感じに一役買っているのだろうな、と。何か唐突に、勝手な印象ではあるがJames Ihaのソロアルバムとか思い出したのだけれども、何故だろう。アメリカンインディのベテランは、本当に底力があるものだのう、と今更ながら恐れ入る1枚。