Rise To Glory


まだ前歯が何だか、ざりざりしているのであった。

これ、歯医者とかに行かなければならないのであろうか。それとも何か良い感じにヤスリをかけたようになって案外普通に落ち着くものなのだろうか。痛みや実害はないので別に気にしなければ良い程度の話なのである。

そう、意外に世の中生き死にに関係ないのに、我が物顔で私の中に切り込んでくる事象が多いわけである、歯に限らず。結局は、気にしなければ良いのだな、と毎度毎度思うのであるが、それでもやっぱりずーっと気になっていたりしたらそれは何らかの手を打たなければならないわけであるね。

歯なら歯医者に行く、でもそうでもないような、何だかどこに行ったら良いかわからないけど気になることがあったらそれはどうすれば良いのだろうか。

そういう場合は自分が動いて何とかする、ということなんだろうなあ、と悟ったりした昨今である。

Earthの「The Bees Made Honey In The Lion's Skull」を聴く。2005年の前作Hex: Or Printing in the Infernal Method、そして昨年の再録曲+DVDHibernaculum、も本当によく聴いたものであるが、この新作も愛聴盤になること間違いなしの傑作である。その影響力のデカさ(ドゥームっていうのですがストーナーっていうのですか)に於いて語られることの多いEarthであるが、2005年の復活作以来、もう更なる次の次元に突き抜けているのであった。今作も何だかアーシーな感じすらする、しかし重さにかけては半端ない、不思議な「アメリカーナ」とかいう言葉を使って逃げたくなるような、そういうインストゥルメンタル音楽を奏でている。物凄く遅く、物凄く淡々としたギターのトゥワンギーな音色が印象的な、ある種ミニマルへヴィカントリーと形容したくなるような、そういう異形の音世界である。良い意味で1曲毎の区別がつかないと言っても過言ではないくらいなのであるが、その不気味なまでに徹底した感触に背筋が震えるような感動を覚えるのである。前作に比べるとライヴもかなりこなしてきたようでキーボードの入り方等結構上モノが充実しているように思えるのだが、それとて微細な話であって、物凄くのったりのったり歩く恐竜が復活してきたような、そういう凄味を感じる音楽である。遂にはBill Frisellが参加という、結構びっくりしたものだがよく考えればさほど違和感のない話題もあるが、完璧にEarthの音に溶け込んでいて、それはそれでどんだけEarthの世界が確立されているのかまざまざと見せつけられる結果になっているのだった。ちなみに今回2つリンク貼ってるが、画像がない方が日本盤である。この日本盤はライヴボーナスディスク(2006年のライヴ)付きで、これがスタジオ盤と寸部違わぬ強度と、ライヴならではの音のバランスの違いなども楽しめる素晴らしい内容なので、これは折角聴くなら日本盤が良いだろう、と思います。