Stupid Summer

昨夜くしゃみをしたら歯が欠けた。

否、正確には歯が削れた、と言ったほうが良いのだろうか。とにもかくにも、眠い時にくしゃみをしたら上の前歯と下の前歯がごっつんこしてしまって、歯の破片が口の中に残ったのだった。舌を出してみたら舌の上には歯の破片の白い物体が・・・。

しかしどんだけ勢いよくくしゃみを・・・、という気がしないでもないのだが、あまりと言えばあまりのことに力なく笑うばかりであった。幸い痛みとか全くなく、別にものを食べたりする際にも問題はなく、ましてや歯がなくなったりしたわけでもないので何ら影響はないと言えばないのだけれども、「くしゃみをしたら歯が欠けた」というこの事実のインパクトに押しつぶされそうになる。

もともとかみ合わせがあまりよろしくなく、上と下の前歯同士がぶつかる私ではあるが、まさかくしゃみをして歯がぶつかって欠ける、とはなあ。今もちょっと上下の前歯のぶつかった箇所がざらざらしていて、それが気になる点と言えば気になる点なのだけれども、はああ。

ところで歯が欠けた、と言えば90年くらいに当時やってたTV番組「爆風スランプのお店」にBuck-Tickでゲストが出た時、今井寿が「ピザ食べてたら歯が欠けた」という発言をしていたのが誰しも思い出されるであろうが、遂に私も彼の域に達することができたのであろうか。そう考えると感無量である、とか馬鹿なことを言っている場合ではない。否、場合なのかも知れないけれども、とにかく何だか精神的にダメージを負ってしまった出来事なのだった。

Kramerの「The Guilt Trip」を聴いて元気を出していこう。無理だ。これはShimmy Disc主催者として、またはShockabillyとかBongwaterとかのメンバーとしてある程度以上の年齢の方々には御馴染みの彼の93年リリースソロアルバムである。一時期の半引退状態から復活して、元気にプロデュース業とかSecond Shimmyレーベルを主催とか、今2008年2月現在にはMike Wattと一緒に日本ツアーとか、何だかまさに暗躍、という言葉が似合うような活動を続けているのだが、このCD2枚組のアルバムはマジでこの男はヤバイのではないか、と思わせる異様に密度の高い作品である。ほとんどの楽器を本人が演奏し、歌い、という何だかまさにソロ、という作品ではあるのだが、ここに収められた楽曲は素直に美しいメロディの曲ばかりである、少なくとも歌ものに関して言えば。インストに於ける何だか居心地の悪いような無茶具合も勿論素晴らしいのだが、歌ものの美しさが実に印象的である。ただ、それらを素直にやっていれば素直に聞こえるのだろうけれども、声が変調されているものもあれば、何だかバックで延々女の喘ぎ声が鳴っている曲とかもあって、それらをトータルで見ていくと、どう考えてもおかしいアルバムなのだ、という結論になっても仕方がないことであろう。全36曲というヴォリュームでKramerの頭の中を見せられているような、そういう気がしてくる。でも、何故だか凄く胸を締め付けられるような、そういうギリギリとこちらに迫ってくるようなセンチメンタルな空気が全体に流れていて、それに抗うことは難しいはずである。サイケデリックやね、とか片付けることは簡単かも知れないけれども、果たしてそうなのだろうか。Princeの「Sign 'O' The Times」が何とも片付けられないけど名盤である、というのと同様に、簡単には片付けられない名作なのである。裏「Sign 'O' The Times」と言えるのかも知れない。ちなみに先日ご本人と会話する機会があったのだが、物凄くシャイな人、という印象を受けた。うん、それも頷けるような「ひとり」感が漂っているアルバムだな。