Cinnamon Girl

何だかインターネットをしていると時間の感覚がおかしくなることがある。これは別に時間を忘れてネットを・・・、とかいうことではない。他人のブログや掲示板を見ている時にふと考え込むことについての話である。

よく、まとめてそれらを読もうとすると画面上から下へと見て行って最終的に画面下に「次の10件」とか「前の10件」とか出てくることがある。

これでたまに私は何が何だかわからなくなったりしてしまうのである。例えば「このページで表示されているものは全部読んだから、これより前の日付のものを読もう」と思って「前の10件」をクリックすると、なんとさっき読んでいたページの先の日付のページが表示されてしまうわけである。こういう場合は「次の10件」をクリックしなければいけない、ということは多分大体誰でももう知っていることなのだと思うのだけれども愚鈍な私はいまだにどうしても、日常の感覚で「前の日付は前の10件」とか思ってしまって、毎回毎回「あ、そうだった・・・」となるのであった。いやいやお恥ずかしい話ながらも。

こちらの現実世界に於いては「次」と言う言葉は未来のことで、「前」という言葉は過去のことである。しかしネット上で「次」は単に「まだ画面で表示されていないもの」のことであって、「前」というのは「既に画面で表示したもの」ということなのである。一般の生活に於ける感覚とはこういう部分で大きく異なっているのだなあ、と私は考え込むたびに痛感させられる。最近セカンドライフとかいう仮想現実社会の話題を新聞で読んだりしたのだけれども、これ、あまり深く考えずに現実生活の延長でネット上での世界に入っていったりしたら、何か大変なことになってしまうだろうなあ、と思ったりするのである。とくに私のような愚鈍な人間などは。

ということで今日は至極単純なことを面倒くさく言ってみる、という日頃唾棄していることをやってみた感じであるが、いかがでしたでしょうか。Matthew SweetとSusanna Hoffsによる「Under The Covers Vol.1」を聴く。The BanglesのSusannaとお馴染みMatthew Sweetのデュオ、という分かるような分からないような、そういうコンビによるアルバムである。何か写真見ると、Matthew Sweetの巨大化にかなり衝撃を受けるが、それ以上にSusanna Hoffsのあまりの変わらなさ具合にも衝撃を受ける。これは60年代の曲のカヴァー集で(1曲Bee Geesのナンバーのみ70年代だが)Neil Young(2曲)、Bob Dylan、The Zombies、The BeatlesThe Beach BoysThe WhoThe Velvet Underground、Mamas And Papasなどなど、お馴染みの名曲からちょっと裏名曲まで全15曲収録されている。以上。で終わってしまってもかまわないぐらいスコーンとストレートなカヴァー連発で非常に爽快で痛快である。カヴァーアルバムを聴くといかに自分たちの色を出すかで苦心して、なんだか不自然なものに仕上がってしまったりしているものもあるのだが、今作は誰でも間違いなく楽しめるアルバムである。奇を衒ったところもなく、Rick MenckやらRichard LloydやらVan Dyke ParksやらGreg Leiszやらの好サポートを受けて心から楽しんで作ったであろうことが窺える、そして聴く側も凄く楽しめるアルバムである。あ、原曲に忠実ではあるのだが、まずこの2人が全曲デュエットで歌っている、という点からして独自色はしっかり出ているんだな、そういえば。と今頃気づくくらいデュエットによるハーモニーもばっちり違和感なくはまっていて、なんだかたまにこういうの聴くと心が洗われるような気がしたりするのであった。