The Cell

tdsgk2008-01-30


あんまり疲れたとか言いたかない私であるが、今日は何だかPCのモニターを激しく注視するような時間が大層長かったので目が疲労した。そして目が疲労すると身体全体に波及するものである。ということで何だか気だるい私である。

ちなみに上記のように何故PCと長時間にらめっこしたか、というとまあ言うなれば労働の一環である。決してEarthとかDiamanda Galasの新譜の情報を血眼になって探していたり、Kylie Minogueの12インチと一緒にBritney Spearsの12インチも注文しようか、とかモニターを注視しながら悩んでいたから、ではない。断じてない。

ということで夜の帳も降りたこの時間にはJandekの「Glasgow Monday」を聴く。2007年は私にとってのJandekイヤーとして記憶に残る年であったが、この作品はタイトル通りグラスゴーで2005年5月23日に行われたライヴの模様を収録した2枚組である。人前に現れず、果たして実際にいるのかとまで一時期噂になった彼が人前で演奏を行った、ということでセンセーションを起こしたように記憶しているが、この頃からライヴも活発になり、そしてリリースもそれに伴って異常なまでに活発になっているのだった。DVD付き作品まで別に出したりしているのだから、何だか凄い振り切れ方だなあ、としみじみ思う。以前ここで紹介した雑誌『Sweet Dreams』SWEET DREAMS ISSUE #1 Winter 2007(ポストカード付)でもJandek特集が組まれていて詳しくはそちらを読んでいただきたいものであるが、このライヴ盤は彼がピアノを弾き、そしてバックにはRichard Youngsら2人を従えているが、ほぼJandekさんのピアノとヴォーカルの独壇場である。バックはあくまでそれに従うようなシンバル系の鳴り物とベースのドローンのみである。で。この作品にはJandekだからどうこう言う前に異常な美しさがある。Jandekさんのピアノは決して同じフレーズを奏でない、決して和音にもならず延々と爪弾かれる。この断片をつなげていったようなピアノが凄く染みるのである。某所ではサティがどうこう、というとんでもない比較がされていたのだが、しかしそれがあながち突拍子もない、とは言い切れないくらいである。そこに呟きというかJandekさんヴォーカルが乗っかり、持続音として低音が鳴り、時折何か福引の特賞をひいた時の鐘の控え目ヴァージョンやら、クレッシェンドしてくるシンバルやらが盛り上げどころもわからぬままに盛り上げてくる。何かを掴もうと音楽を聴いていたら全く掴めないままにCD2枚が過ぎていくのである。それでもこのアルバムの静けさは心の中にぽっかりと居場所を作り上げて、そこに何か一種清々しい記憶を残していくのである。どこから来てどこへ行こうとしているのか全くわからない音楽かも知れないが、その途中に私たちを通り過ぎていったことだけは確かなものである。そしてその記憶はとても静謐で清々しいのである。