Pulse

そういえば最近(あ、別に最近でもないかも知れないのだが)、J-Popの曲とか洋楽の曲とかをボッサでカヴァー、とかいうのが多いようだが。

何と言うか、好きな人もいるだろうし、中には聴く状況によっては良いものもあるんだろうけれども、何だかボロい商売だなあ、というか男気が感じられないなあ、とか思うのであった。別に業界の人でもないし、単に好き勝手に音楽聴いている私が言うことではないのだけれども。ボッサだからゆったりできる、とかお洒落な、とか演者自身が思ってやっているような、そういう匂いが嫌だなあ、とまず聴いて思って、そしてそれの裏側にいる大人の方々の顔までもが思い浮かんでしまうくらい、ボロい感じがしたのであった。あ、単なる私個人のいちゃもんですので、あまり気になさらずに。

でもこの間原田知世の「時をかける少女」を本人がボッサ風にセルフカヴァーmusic & meしていて、それは何故だか男気が感じられて、というかビシッとしていて感動したのであった。何だろうな。

ということで全く何ら関係なくLeo今井のメジャーデビューシングル「Blue Technique」を聴く。何かスウェーデン人と日本人のハーフで、インディでアルバム出したりしていた人のメジャー一発目、ということなのだが、その強烈な違和感にまずはやられる。歌詞は日本語と英語が混ぜこぜになっているのだが、圧倒的に日本語の使い方が変である。そしてその歌い方、というか譜割りのようなものも不思議な感じがする。宇多田ヒカルの「Automatic」を最初に聴いた時に誰もが感じたであろう譜割りの不思議さを彷彿させるのである。そして彼のヴォーカルであるが、美声なのだがそれをどう使いこなして良いかわかっておらず、パズルのピースがガタガタなところに無理やり当てはめていったような、イビツな感じがする。でも、そのイビツな感じが実に痒いところに手が届く感じで、完全に個性、とか呼べるものになっているところが凄く面白い。曲も一気にドカーンとサビで炸裂する感じで、それを彼のイビツなヴォーカルで歌うものだから、何か勢いでやってみました、的な潔さが感じられて凄くカタルシスが得られるのである。そう、まずはメロディが凄く良くて、普通に名曲と呼べそうな曲ばかりなのだが、イビツな彼のヴォーカルとのバランスの取れたアンバランス具合であんまり他で聴けない感じになっている。David Bowieの70年代末期から「Let's Dance」以前までみたいな感じ、と言うと言いすぎだろうか。3曲収められているが全曲ベクトルが好き勝手向いていて、ともすればバラバラになりそうなものなのだけれども、彼のイビツなヴォーカル(ラップまでやってる曲があったりするし。しかも英語で)と結構ダイナミックで手堅いバックがバシッとまとめているので不思議とバラバラな印象はない。そう、バックも石井マサユキにKUDO54-71のドラムス、という実にとんでもないメンバーだったりするから当然と言えば当然なのか。ちなみに次のシングルではZazen Boysの2人が参加しているらしくて、それも間違いなさそうで楽しみなのである。