Oh! Brother

tdsgk2008-01-09


私はここ最近、凄く雑誌を読むことが大好きなのである。一応音楽関係の雑誌を読むことが多いのだけれども、ガチで自分の好きなものだけ、というよりは、好きなもののことも載っているけれども、他のあまり興味がなかったようなものについての記事がしっかりと載っている雑誌が凄く好きである。さて、この傾向は何故なんだろう、とか思っていたのだが。

『Sweet Dreams』SWEET DREAMS ISSUE #1 Winter 2007(ポストカード付)という雑誌が昨年刊行された。元々『map』という実に面白い音楽雑誌があった(ある)のだけれども、そこの編集をやっている人が別働隊のような感じで出版した雑誌である。これが実に、上記のような私の最近の傾向に合致する雑誌なのである。

一応音楽雑誌なのであるが、音楽関連ではJandekのどっかーんと約40ページに渡る特集+α程度で後は、読み物、写真、その他色々と多岐に渡っていて、所謂通常の「情報が、インタヴューがばしばし」という雑誌ではない。お陰でJandekの全貌がある程度つかめた、という嬉しい点もあるのだが、それ以外の部分でも、多分この雑誌に出会わなかったら多分一生出会わないままであったであろう人の名前やものの名前や作品と出会えて、とても面白い。

で、これを読みながらふと思ったのだが、もしかしたら上記の傾向ってネットをよく利用するようになったことへの反動なのかも知れない、とか気づいたのである。基本的に私の場合、ネットをよく利用はするが基本的に自分の興味があることしか調べなかったりするわけである。つまり余計な、というと聞こえが悪いかも知れないが、それ以外のものを強制的に見せられたりすることがあまりないわけである。

だから買った雑誌とかに元々興味のあったこと以外のことががっつり書いてあったりすると、最早読む以外の選択肢は残されていないわけで、それ故にそういう部分が何だか凄く面白かったりすると嬉しい気がする。『Sweet Dreams』も情報量が云々、というのではなく情報の質、というと何だか凄く偉そうな知ったかぶりみたいな感じがしてしまうかも知れないが、それが凄く研ぎ澄まされていて凄く新鮮で瑞々しいのである。

紙媒体での面白さ、というのは自分が必要としている以外の情報までも得られるところであろうと思う。しかもその情報の量だったり質だったりが良ければ、何も言うことはないであろう。そういう意味でこの雑誌は紙媒体での面白さに溢れた雑誌である。

とかなんか今日偉そうなのは何でだろう。でもポストカードまでついていて、そう、このオマケ、というものも紙媒体ならではだよなあ、とかしみじみ感じるのであった。何だか無性にフリーペーパーだったりジンだったりとかを突然今更始めたくなるような、そんな雑誌である。実際始めようかなあ何か。でも何か面白いこと書けなさそうだしな・・・。大体にして書くことがない・・・。まあ、33歳にして突然フリペもしくはジンを始める、ってこと自体面白いような気がしてきたな。

と何だか変に盛り上がったりしているのでThe Fallの「458489 A Sides」を聴く。これはタイトル通り(?)「45回転のリリースで84年から89年の間に出たもののA面集」である。つまりBeggars Banquet時代のシングルコンピ、ってことである。ちなみにCD2枚組のB面集ってのもあって、Supercarの解散時のコンピ盤リリース体裁の元ネタなのではないか、とか思ったりするがまあどうでも良い。この時期のThe FallはギタリストでBrixが入っていた時期でもあって、実にポップなギターバンド的側面が前面に出ていた時期でもある。よって凄く聴きやすい。初期のぎこちなさは勿論しっかりと、焼き魚の見えにくい骨のように(今日赤魚の干物焼いて食べて骨の多さに辟易したのでこういう表現が)残っている。そして刺さる(これも赤魚の骨が口の中で痛かったのでこういう表現が)のである。でもあくまでスピーディにコンパクトにポップに飛ばしていくので初期の頃のギクシャク感は薄目かも知れない。ただロカビリー風味はしっかりと残っていて、そしてリズム隊がめっちゃこの時期強靭なのでバキバキな印象が強い。シングル集だから勢いあるナンバー多目だし、プロデュースはJohn LeckieにIan Broudieだし、多分すんなりと入っていくことができる作品集だと思う。まあ、それでもMark E. Smithのやさぐれた吐き捨てるようなヴォーカルはビンビンと益々勢いを増していて、それがポップなギター中心のバックと相俟って痺れるんだなあ。この後メジャーに行ってリズム面の実験をするようになる布石が感じられたりもするのであった。