Flocks

何だか音楽を聴くのが楽しくなる季節、というのはないであろうか。

それは別に年齢とか、音楽を熱心に聴き始めて何年目、とかそういう問題ではなく、私の場合いつも何故か不思議なことに、この時期、1月の結構最初の時期というのは何だか無性に色々聴きたくなり、そしてそのどれもがドンピシャに楽しめるのである。

まあ結構年がら年中、しかもとっ散らかった音楽を聴いて楽しんではいるものだが、1年の中でもこの1月、年の始めのこの時期はとくにとても充実している。何だか心から何を聴いても楽しめる。しかも集中して聴けてしまうのである。理由はわからない。私のような人間は別に1年が新しく始まったからってさあ、という実にスカした感じのアティテュードでいるわけだが、もしかしたらこういう方面で一応新年モードになっているのかも知れない。

口では何だかんだ言ってても、身体は正直・・・、とかそういう三流エロ劇画の台詞が頭を過ぎったりもするものであるが、まあ、この方面では今年も幸先良くスタートが切れたのではないか、と思う。ということで今まで聴いてきたものや、新年になって初めて聴いたもの、今のところどれもとても面白く聴いているのであった。

Collections Of Colonies Of Beesの「Birds」もとても楽しく聴いている。元Peleのメンバーの新ユニット、Table Of Elements(正確にはサブレーベルと言っても過言ではないRadium)からのリリース作品である。Pele、聴いたなあ。思えばまだ私が『After Hours』とか『Cookie Scene』とかをとてもマジメに読んでいた輸入盤店員時代、情報は入ってきているのにモノがなくて、悔しくてオーダーしたりしたなあ、とか懐かしく思い出したのであった。何だかリリースを重ねる毎に、私にとってはちょっと違和感が増してきたりしてしまったのだが、好きであった。疾走感が良かったなあ、とかしみじみ思い出した。実はその後の所謂「ポスト・ロック」だか何だかという括りみたいな音ってPeleみたいなクリアーなギターの絡みと結構端正なリズム隊のインストもの、みたいなイメージがある。実はそれにちょっと食傷気味になってしまったのかも知れない。このCollections Of Colonies Of Beesもクリアーなギターリフの絡みから細かく展開していって、あららちょっともうこういうのは良いかもなあ、とか最初は思ったのだ、最初は。ところがどんどん進むにつれて実はドラムスがとんでもなく豪放ながらもテクニシャンで変幻自在すぎる、とかリフの絡みも細かいだけではなくてなんだか一丸となってダイナミックだぞ、とか色々見えてきてエラく面白いのである。しかも結構ミニマルな展開があったりするのだが、どれも力強くて、いやーやっちゃいました、的な潔さが実に痛快である。特にドラムスに先導されていって静と動の対比も見事な展開になっていく曲とか最後はギターがずっと同じリフを繰り返すだけなのに、それが快感すぎてたまらない。レーベルメイトのRhys Chathamとかをも思い出させるダイナミックさである。そして何より、全体的に凄く楽天的な印象を受けるインストナンバーが4曲で、聴いていて不思議と明るい高揚感が得られるのも素晴らしいなあ、としみじみ感じるのであった。何か晴れ晴れした気持ちになれるのである。