Mary, Don't You Weep

ということで一発ばしっとラーメンが食べたかったのだが、様々な都合により、久々に「卍」というエクストリーム系のラーメン屋に行った。

以前、2年くらい前だと思うのだが、その頃2,3回行ってあまりのこってり、というよりギトギト感、そして異常なまでの盛りの良さにやられてちょっと足が遠のいていたのだが、久々に近くまで別件で行ったら開いていたので入ってみた。

店の内部の様子は変わらないが、味がこう、大分マイルドになり、盛りの量もかなり常識的になっていた。以前は食べてる最中から、これは絶対後がヤバイぞ、大変なことになるぞ、という予感がビンビン来ていて、それはモロに的中していたものだが、今回は、あら、イケルんじゃね、という感じで完食したのであった。

その後も、以前は晩飯なぞ喰えねえよ、くらいのげんなり具合になっていたにも関わらず、今回はなんら問題はなく寧ろ清々しい気持ちになるくらいであった。

これは勿論喜ばしいことだし、身体にも良いのであろうが、何かこう、ちょっと寂しい気もするのである。昔の方が・・・、なんて気取った奴になるつもりはないのだが、何と言うかエクストリームなものを覚悟していったにも関わらず、ごく普通に美味しく食べられたから、何か肩透かし、みたいな難しい感情に襲われたのであった。

人間何とも不思議なものである。客観的に見れば以前の方が酷いはずなのに、どこかにそれを恋しがる自分がいるわけである。わずか2、3回のうちに調教されてしまったのであろうか、まるで『O嬢の物語O嬢の物語の主人公のように?こうして考えるとあの物語は実に真理を突いていたのだなあ、と何故か感心したりする年の始めなのであった。

全く脈絡なくAretha Franklinの「Amzeing Grace The Complete Recordings」を聴く。元々レコードで欲しいかもなー、とか思っていたらブックオフで完全版を発見。今年は幸先良いのう、とかこういうことであまり変な期待は持たないようにしておこうと思う。これはレコードでは抜粋してオーヴァーダブが施された2日間の教会でのライヴレコーディングを2日分、ほぼ完全な形でオーヴァーダブなしで収録した2枚組みである。元々父親絡みでゴスペルには親しんでいた彼女の本領発揮、と言った感じのライヴ作品である。とにかく何だかもうヴォーカルがソウルフルすぎて何がなんだかわからないくらいの勢いである。どこまで声が続くのか伸びるのか限界に挑戦みたいな、圧倒的な彼女のパワフルなヴォーカルにやられない人はいないであろう。そしてまた、観客からのリアクションも異常なまでの一体感があって、聴いているうちにトリップしてしまいそうな、そういう空気がある。ライナーにも書いてあるが、クリスチャンじゃなくても、全然宗教と関係なくても、十二分に楽しめる作品になっている。Cornell DupreeだのChuck RaineyだのBernard Purdieだののバッキングも間違いあるわけもなく、それにプラスしてクワイヤもいるわけで、何か鼻血出そうなくらいの熱量にやられてしまう。私のような俄かソウルファンにもその熱さが伝わる名作である。Carole Kingとかのカヴァーもまた違和感なくしっくりはまっているし。