Close Up The Honky Tonk

今年は何だか秋がなかったなあ、と急激に寒くなってしまった窓の外を見ながら物思いに耽る近頃であるが、我が家のエアコンの調子がおかしい、と思ったのだったある日。

何だかパワーが足りない、というかさっぱりあったかくならない。そろそろ本格始動していただかなければならない時期にさしかかっているので、これは困ったなあ、とか思って修理か、とか色々考えていてはた、と気づいたのだった。

フィルターの掃除を全くしていない、ということに。

ということで初の(お恥ずかしい話であるが・・・)フィルター掃除を敢行したのであった。まずフィルターを外し、と思ったのだが想像以上のホコリのこんもり具合に軽くビビる。確かフィルターは黒色だったはずなのだが、あら、茶色のような灰色のような、というぐらい全くもってフィルター本体が見えないくらいであった。

何か悲しい光景であった。己のズボラさ加減を目の前に突き出されたような、そういう感覚を覚えた。そしてそのホコリを掃除機でずがーと吸い込んで掃除していくとき、確かに私は己の再生を感じた、というか確信したのだった。もうズボラになんて生きない、という決意とともに。

しかしその掃除後のエアコンの効き具合と言ったら、これまた感動的であった。あんなにパワー不足を感じていたエアコンがこんなにも実はパワフルだったなんて、とエアコンに対して謝りたい気持ちになった。と同時にここ1,2年は、フィルターさえきちんと掃除しておけばよかったのに無駄に電気を消費していたのではないかと、そしてやはり無駄に電気代を多く払っていたのではないか、と空しい気持ちに襲われて何だかエアコンで悲喜こもごもの1日であった。

小市民的な、あまりにも小市民的な、しかもダメな小市民的な感じになってしまったのでばきっとGram Parsons With The Flying Burrito Brosの「Live At The Avalon Ballroom 1969」を聴く。最近ライヴアーカイヴものが大流行のようであるが、こちらもアーカイヴスシリーズの第一弾である。タイトル通りその場所での4月4日と6日のライヴの模様をCD2枚に収めたライヴ盤である。いや、オリジナルアルバムは聴いているし、別にライヴまで手を出さなくても、それよりも前にEmmylou Harrisのボックス買わなきゃないしさあ、とか言いながらも試聴したら即買ってしまったのだった。まずスタジオ録音と何ら遜色のないGram Parsonsの伸びやかで美しいヴォーカルに驚き、そして意外にリズム隊がドコドコドコバタバタバタ、としているアンサンブルがとても面白かったのでじっくり聴きたくなってしまったのであった。そう、こんなにもリズム隊がばたばたな感じのバンドだったのかあ、と実に新鮮な驚きを覚えた次第である。ここらへんはスタジオ録音では感じとれなかった部分である。カントリーと言えばカントリーなのだが、このリズム隊が実に印象的なパートをなしていて、決してストレートには行かない感じが実に格好良い、というか燃える。内容的にはディスク1と2で被っている曲が当然ながら多いが、それでも微妙にどちらかの日でしかやっていない曲とか、演奏のテンションの違いとか如実に現れていたりして、全く飽きずにどばーと2枚とも聴きとおしてしまった。更には2曲未発テイクの宅録ヴァージョンも収録されていて、まあコアなファン向け、とかそういう世界なのかも知れないけれども凄く今年出会えて嬉しかったアルバムである。また聴こうっと、と今日既に4回目くらいなのだが。