Titan Moon

隣のお子様がうるさいのである。

いや、子どもがいないからわからないだけだ、子どもは可愛いよ、というのは百も承知である。しかし。しかしだ。それを抜きにしても、激アクティヴに動き回る。現に夜10時過ぎの時点で、どたどたという足音が激しく聞こえ、床が振動しまくるのである。さらには、隣の部屋はメゾネットなので、今私がこのPCに向っている部屋の壁の向こうには階段があり、そこの階段でもどたどたやっているので、もう大変なのである。大声で騒いでいないだけ幸いなのかも知れないけれども、床に座ったり寝そべったりしてぐだぐだと過ごしている我が家にすれば、結構なものである。

別にわざとやっているわけでもないし、子どものことだから別にあれこれ言うつもりはない。でも昔の伊武雅刀の歌ではないけれども、子どもだからってそんな・・・、と思いたくもなる秋の夜長である。

というわけで負けじとこちらはEvan Parker, Derek Bailey, Han Benninkの「The Topography Of The Lungs」をどたばたと聴く。Incusからのリリースであったが、どうもEvan ParkerDerek Baileyの間のその後の確執の問題もあって長らく再発もされていなかったようである。それがBailey亡き今、CDでリリースされたのはありがたいことである、って頑張ってレコードで買ってしまったからなあ、ってまあそれは置いておいて。間章先生がライナーで『<即興アンサンブル>のひとつの頂点に立つだろうアルバム』と紹介しているが、なるほど、確かに、と言えるアルバムである。実は私はあまりEvan Parkerのサクソフォーンが何故か好きではないのだが、このアルバムでは何故か気にならずに入り込んでくるのも、このメンバーによるものだからなのだろうか。この3人による即興なので、悪いわけがない、と言えばそうなのだがそれにしても、このインタープレイ、とかいう言葉があってないような3人の筋の通し方は実にスリリングである。何と言うか、よく聴くとずっと音になる一歩手前でブロウし続けているようなサクソフォーンと、のたうちまわる、かきむしられているようなギター、そしてまさに「鳴り物」という形容が相応しいようなパーカッションがそれぞれの道を貫いているだけのようなのであるが、それらが不思議と一体となって謎の怪物を作り出し、それが大暴れしているような、そういうまさに「即興」なのに「アンサンブル」という音になっている。ひたひたと迫ってくるのに、ふと気がつくと大暴れ、というまさに恐怖の怪物の生き様のドキュメントなのである。そう、対話というよりは呼応が実にバシッと決まっている即興、とか色々言えると思うのだが、まあ何はともあれ爆音で聴くべきアルバム。