Tangled Up In Blue

■11月11日 (sun)「nadiff bis presents Ensemble of Rests#4」at せんだいメディアテークオープンスクエア
adv.3000yen/door.3500yen(チケット枚数限定)
14:00 open/15:00 live start
出演:GUTEVOLKLullatone/yumbo & tenniscoats/aaraki (DJ)/TDSGK (DJ)/monogram (VJ)
チケット取扱店(9月10日発売)
ローソンチケット Lコード 23663 nadiff bis(仙台メディアテーク1階)022−265−7571 HMV仙台一番町店 022-213-0321 火星の庭  022-716-5335 GANJABHANGAH 022-722-3727 store15nov  022-221-5763 ミュージック昭和(山形) 023-641-2923 action time vision(盛岡) 019-651-5485

よろしくです!

ゴダールの「はなればなれに」という映画を見たのだった。

思えば以前、初めて日本で公開された時は、我が街のシネコンに見に行こうと決め、上映スケジュールもHPで確認し、いざ見に行こうとしたらなんら断りもなく打ち切られてしまっていたために見れなかった、といういわくつきの映画である。さらにその後DVDが出た時にはDVDプレイヤーを持っておらず、やっとこさDVDが見れる環境になったらばソフトが廃盤で結局今の今まで見ることができなかった、ということで私の中では呪われた映画だったわけである。

詳しい説明なんかはもっとゴダールに詳しい人がああでもないこうでもない、とかいうところで見てもらうとして、この作品はきちんとストーリーがあり(ある意味不条理ではあるが)、後の作品に比べるとかなりストレート、「わかる」感じの作品であるように思える。それでもナレーターの存在があって、映画の画面による説明を大きく省いていたり、映画ならではの「ギミック」とでも呼べそうなものも随所にあって、これがまたちょっとこの映画を単なるストーリーをなぞっただけの作品ではないものにしているように思える。というかゴダールの映画について感想を述べたりすると、上記のような異常に詳しいひとがああでもないこうでもない言っているのに巻き込まれたりするから、ちょっと大変な世の中だなあ、としみじみ思ったりする。

しかしそんな風潮にめげずに素朴な意見を書いていこうと思うのだが、私がこの映画を見てまず思ったのは「うるさい」ということである。何か街の音はガンガンに入ってくるし、店の中の他の客の会話はうるさいし、工場の音はうるさいし、という感じで気づくと結構なノイズが溢れている。それは冒頭からずいぶんと過剰だなあ、とか感じられるくらいであったのだが、映画途中の「1分間の沈黙」とか静寂がカットインしてくる部分とかによって、ああ思いっきり意図的だったのか!と気づかせられる。それくらいの「音」が蔓延る映画であった。

まあその他にも有名なダンスシーンとかそういう素晴らしい「画」は沢山あって、とても楽しめたのである。相変わらずのゴダール特有の思わせぶりな、薀蓄あるようなないような台詞も、今回は沁みる感じであった。

しかし、まあ、一番強く感じたのは「女って奴はこえぇな、って言うか理不尽じゃのう」ということだった、なんて下らないまとめであえて〆たいところである。

ということでBob Dylanがまた今年も送られてくる季節だったのである。今年は「Blood On The Tracks」であった。ありがとうございます。1974年の作品である。しかし何がビックリってこのアルバム聴くのは初めてなのに、何らかの形で90%くらいの曲を聴いたことがあった、ということであろうか。まあ、Bryan FerryとかLloyd ColeとかBen WattとかCasandra Wilson経由で、というのもあるのだが。さて聴いてみると、何とも叙情的なメロディが詰まった、ポップなアルバムである。と言うか非常に練られた、なめらかな曲が結構多めな気がする。録音し直す前のヴァージョンもあって、そちらはド暗い、という話をこのCDの贈り主である盛岡のマギーズファームから聞いたりもしたのだが、それにしても非常にエッジの抑えられた、面取りされた感じがする。それが悪いわけではなく、逆に各曲毎の音質の差みたいなのが際立ったりして、面白いのである。そして何よりこのアルバムではDylanの声が、何だか凄い。「Nashville Skyline」Nashville Skylineの声もビックリしたのだが、こちらのアルバムでもかなり声が澄んでいて(澄んでいるように聴こえる曲が多い、ってことなのだが)不思議な感じがするのであった。唐突に上がったり下がったりする節回しさえなければ、何も言われないで聴かされたら、本当にDylanの曲?という勢いの曲があったりして、凄く面白い。しかし歌詞が凄いなあ、としみじみ思ったりしたのだが、そこら辺が比較的はっきり聴こえるのもちょっとビックリしたのであった。この後Rolling Thunder Reviewツアーであのヴォーカル、というのはここまでの世界を一旦リセットしてしまうかのようなことで、実にパンクだったんじゃのう、としみじみ思った次第である。