Radio Nowhere

毎年毎年この時期になると「今の年齢でやり残したことはないか」ということを自問自答したりするのである。たまにはマジメに書かなければ、折角時間を費やしてこのNag3の駄文に付き合ってくださっている方々に申し訳ない、と一念発起してビールを片手に書いているのである(←何も今までと変わっていない)。

さて、上記の質問に対する己の答えであるが、毎年「とくにない」若しくは「宝くじを当てること」とかいう答えしかない。大体にしてやり残したことって果たして自分で分かるものなのか、という思いがあるのだが、そういう思いを抱きつつも自らに毎年問う、という不毛なことを繰り返しているのは、やはり何か意味があることなのかも知れない。

とか言って意味のないことに意味を無理やり持たせようとするのは止めて、結局毎年毎年、その自分の1年を振り返りたくなるのだな、どうしても。それで上記のような問いを繰り返しているのである。今年の私の答えは「やり残したことはないと思うけど(宝くじは1000円くらい当たった程度だが)、何だかへヴィだった」ということに尽きる。うむ、へヴィだった。こうして振り返って良かったことしか思い出せない人はよっぽど幸せな星の元に生まれたか、何かすがれるものを持っている人だと思うのだけれども、私の場合はこの32歳、という年齢で経験したことはかなりへヴィなことが多く、なるべくなら早く脱出したいものである、という気持ちで一杯である。まああと4日くらいのものではあるのだけれども。

それでもそんな32歳の時にもやっぱりナイスな音楽群と出会えたのは、実に救われる出来事であった。という何ともポジティヴな気持ちでBruce Springsteenの「Magic」を聴く。ソロ名義ではあるが、The E Street Bandとの共演作である。そうこの32歳の時には11歳の時以来の強烈なボスブームが自分の中で巻き起こってこうして新作を聴いているのであった。Brendan O'Brienプロデュースかよ、ということで盛岡在住の歩くローリングサンダーレヴュー、若しくは歩く涙のサンダーロード、である友人とも喧々諤々の議論を交わしたものであるが、結論から言うと、でもそんなの関係ない、という感じか。確かにちょいとギターがギャンギャン言い過ぎているナンバーもある。ボスの曲は確かにギターはがっつりしっかり入っていてもそれだけが突出しているのではなく、寧ろトータルで、どちらかというキーボードの方が印象的な曲の方が多いわけで、そこら辺で軽い違和感を覚えたりもしたのだが、結局は今回の粒揃いの楽曲と迫力の演奏でもう全てが吹っ飛ぶ。それ以上になんかバラードナンバーも異常に感動的だったり、The Beach Boys風アプローチナンバーもあったりして、意外にヴァラエティ豊かな作品でもある。っていうかClarence Clemonsのサックスがブロウし始めた瞬間にうおおおおお、と盛り上がってしまうのはここ最近「The River」The Riverだの何だの旧作を貪るように聴いていたことからの悪影響か。しかしどこまでもパワフルなロックンロールなのに、どこか寂寥感漂う感じ、というのはやはり彼の真骨頂なのだなあ、としみじみ感動(!)するのであった。歌詞もまたさあ、こう、締め付けられるんだよなあ・・・。