Bien Avant

さて実は3連休を過ごしたりしたのだが、1つわかったことがある。それは私は家事をするのは大好きであるが、家から一歩も出ないでぼんやり、ということはできないようだ、ということである。

とくに用事がない休みの日も、掃除したり洗濯したりトマトやらバジルに水やったり、という諸々の事柄が済んでしまうと、嗚呼これではいけないのではないか、という思いと共に何だか身体がだるくなってきたり、眠くなったりしてくるのでこれはいかん、となんだか外出してしまうのである。

別に家でレコード聴いたりCD聴いたり本読んだり色々したり、というのは嫌いではないし寧ろ大好きなのだが、それでも何だか昼過ぎ辺りにはムクムクと何だか知らないが外出したい欲が鎌首を擡げて来て、とくに用事もないのに出かけてしまったりする。車でどっかに出かけてしまったりする。中古盤屋でお金を落としてきてしまったりする。これは最早病気なのか!?

否、多分冷静に分析するに、基本的に私は怠け者なのである。できれば動かないで済ませたい人間なのである本質的には。それ故に無意識のうちにそれを食い止めようとして「お出かけ欲」が現れてきて私を外出へと促すのである。多分放っておくと、上でも述べたように、だるいな眠いなーとかいってゴロリと寝てあっという間に夕方、とかそういう風になりがちだから何かが動いてそれをストップするのである。

おお、実に素晴らしいではないか私の中のある部分!って非常に語呂がよくない感じの感嘆であるが。ダメになりがちな私をきちんと食い止めてくれるではないか、でかした!

と思うのだが、結果的に中古盤屋でお金を落とす、とかそういう方向に走ってしまうのだから、またそっちの方向を食い止める抑止力も必要なのではないか、と思うのだがそうなると怠惰方向の抑止力を抑止することになってまって八方塞である。嗚呼永遠の無間地獄である。

と生きることはなかなか大変である、とかとんでもなく大雑把なまとめをしたところでBenjamin Biolayの「Trash Yeye」を聴く。ゲンスブールの再来と言われているとか、マルチェロ・マストロヤンニの義理の息子、としても御馴染みの彼の新作である。そのマストロヤンニの娘である奥方との共演盤くらいしか聴いていないので純然たる彼の作品としては、これが聴くのが初めての超新参者な私である。何でもこの新作のために50曲以上製作し、結局その中から選りすぐりの12曲が収められているらしい。で、さすが選ばれし曲群だなあ、というのがまず素直な感想である。スローな呟きのようなヴォーカルをフィーチャーしたナンバーから結構ハードにギターが唸るナンバーからどことなくNew Orderを想起させるようなナンバーまで様々なヴァリエーションの曲が無理なくキュッと収まっている感じがする、そんなアルバムである。しかしどの曲もしっかりとメロディアスで、どことなくロマンティックな感じがする曲ばかりなのであっという間にガンガン聴いてしまうのである。買ってすぐに聴いて、その後何回もリピートして聴いてしまうのも実に久々である。何かもっと知りたいもっと聴きたい、という欲求が湧いてくるような、そういうアルバムなのである。表面的には凄く落ち着いているのだが、その実なんか仕掛けがありそうで、それが気になって気になってしょうがないのである。プログラミングもホーンもストリングスも、結構豪勢に入っているのに凄くすっきりした印象がタダモノではない。そして彼の渋い声で歌われる全編フランス語のヴォーカルも、また抑揚があって良いんだなあ・・・。ただ惜しむらくは全く何歌っているのか、フランス語なので私にはわからないことか。分かったらもっと楽しめるだろうな、とか思うのだがそんなこと関係なく傑作である。