You Don't Know Her Name

ところでスカパーなのである。

ここ最近、どうにも画像が止まることが多い。いきなり「ポーズ」かかったようになってしまうのである。以前は突然映らなくなったりして、そのときにはアンテナをガンガンに実験的に動かしてみたらば映ったりしたものだが、今度のこれはなんだか直らないのである。

まあ楽しんでいられるうちは良いのである。例えば旧シリーズの「トムとジェリー」は静止画になっても「良い画」なのだが、新シリーズになってしまうとなんだか止まっている画も美しくない、とかそういう発見があったり、という実に下らない話なのだけれども。

しかし、こちらが疲れて帰ってきて、楽しみに見ている番組(例えば「80年代懐かしの洋楽ヴィデオ」とか)を、癒されつつ(Princeの「When Doves Cry」とかRoxy Musicの「Jealous Guy」とか)見ていて突然止まったりすると、イライラが最高潮に達してテレビのモニターに穴を開けて家に火を放ちたくなったりする。何だか疲れている私のイルなヴァイブが突然止まる画像と共鳴して、猛烈な破壊衝動に駆られてしまうから、楽しみにしているものが非常にストレスフルなものに変わってしまうのである。

とくに今月はフジロック、というかThe CureのためにWOWOWにも加入しているわけだし、ここぞの一番の時に止まったりされた日には、私の住んでいる地区全体を巻き込む何か暴動を起こし、社会的な地位やら何やら全てを失い、酒浸りになり、寂しく野垂れ死にし、嗚呼あの時画像が止まったりしなければねえtdさんも今頃は・・・、と近所の噂になって孫の代まで不名誉な歴史を築き上げることになってしまうのだ。

お客様相談センターに電話しても、何とか平日の10時から17時、とかいうトボケた受付時間に苦労して電話して、そして電話がつながった挙句にどうせたらい回しにされ、結局「アンテナを左右に動かしてみてください」なぞという間の抜けた、Prince作でThe Familyが歌った、そしてSinead O'ConnorやらACOやら矢井田瞳やらのカヴァーで御馴染みの「Nothing Compares 2 U」に於いて"He's A Fool"と糾弾される医者が出す答えのようなものしか得られないのだ。何だか無駄に高ぶってきて訳の分からないたとえで申し訳ないが!

と何故か文体も高ぶってきてキーボードを打つスピードも何故かガンガン上がってきているのだ今!早く寝ろということなのだろうか。とにかく、私がここで皆様に涙ながらに訴えたいのは、どうすればきちんと映るようになるんですかね、識者の方々ご教授ください、ということである。だからMapsの「We Can Create」を聴くのだ。何でもMercury Prizeとったとか、そういう噂のイギリス人とアイスランド人によるデビューアルバムフロムMuteレーベル、である。何だか噂では「シューゲイザー的な」とかそういうことを聞いていたのでどれどれ、どんなもんだべ、とか思ったのだが、Cocteau Twinsを想起させるような打ち込み(要は重量感のない、いかにもリズムマシーンです、というドラム音)に、若干シュワーというギター、儚い泣き気味のメロディ、そしてちょっとぼんやりしているが、結構しっかりしたヴォーカル、という感じのなかなかな音楽であった。ここで話が逸れるがもう安易に「シューゲイザー」とかそういう言葉を使ってこのテの音楽を紹介するのは止めて欲しいのである。こちとらリアルタイムで所謂シューゲイザーもの聴き狂ってしまったせいで、その言葉を出されると変に期待値が上がってしまって、聴いた結果がっかりすることが多いからである。さて、このMapsもシューゲイザーとかいう言葉のせいで変に期待値が上がってしまったが故、その方面で考えていくと違うじゃないか、と肩透かしを喰らうのであるが、それを補って余りあるポップさ、キャッチーさがしっかりとあって、良いアルバムに仕上がっている。へたにギターがフィーチャーされていない、スローテンポの曲のスケール感とかが実にしっくり来る感じで、Morr Music辺りの音楽(ってひどく大雑把だが、何となく感覚として分かってもらえるだろうか)、とくにManualの初期とか、に近いものを感じる。今後より一層バンドサウンドよりになっていくのか、それともエレクトロニカ的側面を延ばしていくのか、それはわからないがどちらにせよ、このテの音でここまでのキャッチーなポップな音を出すようなアーティストはいなかったように思えるので、今後も楽しみである。Ulrich Schnaussをもうちょい軽く、ポップにしたような、そういう瞬間もあったりして。