Allelujah

そうか安倍内閣って何だかんだ言って1年くらいはもったんだなあ、とニュースを見ながら思ったのだが月日のたつのは大層速い。

9.11からももう6年、2週間おきに送られてくる『TV Bros』もなんだかあっという間にすぐに来ているような感じがするし、毎週月曜日に送られてくるレコード屋のリストも、あらもう新しいのが、という感覚である。

毎月定期購読をHMVにお願いしている、『WIRE』が入荷しましたという1ヶ月おきにやってくる連絡を聞けば、あらもう前の号から1ヵ月、となるしそれどころか私のいとこの子どもももう14歳で受験生、である。本当に、何事もあっという間である。

しかし外因的なものばかりで、この「月日のたつのが速い」ということを知らされるのもどうなのだろうか。それともそういうものなのだろうか。自分の中でしっかりと月日の流れを噛み締めて、速度を感じなければならないのではないのだろうか。とは言えそんなことってどうやってできるのだろうか。

まあ、1つだけわかっていることは、人生なんてのもこんな感じの猛烈な速さであっという間に駆け抜けて行ってしまうんだろうな、ということくらいであろうか。思えばこの間まで、物凄くあっつい夏だったのに、今では風が涼しい、秋風になっているわけだし。人生もこの間のあっつい夏みたいなもので、大変だー、とかなっていてもあっさりと過ぎ去ってしまうものなのかも知れない。

Dot Allisonの「Exaltation Of Larks」を聴く。元One DoveMorning Dove White(と言ったところで果たしてどんな意味が・・・)の彼女の、3枚目のソロアルバムである。前2作もまあ、悪くはなかったのだが、どうにも散漫な印象が拭えず、ちょっとアルバム1枚としては辛いのかも、という感じであったのだが、ここに来て大方向転換したのがこの新作である。何でも色々ルーツに当たるようなシンガーソングライターものとか色々再発見したらしく、ここで聴けるのは時に幽玄な、それでいてメロディアスで琴線に触れるような、フォーク路線、というかアクースティックギターの音色が印象的な、実に「生」な音楽なのだった。元々とても美しい声の持ち主であるからにして、こういう風に全面的に彼女の声を中心に据えたような音作りでも、全く不満はないわけである。寧ろもっと早くにこの路線でもよかったかもなあ、とか思ったりするのであった、Felix Da Housecatリミックスとか作る前に。どこかCowboy JunkiesとかMojave 3のファースト、LowとかMazzy Starのファースト、とかを思い出させるような、そういう堪らない人々(私のような)には堪らない世界が出来上がっているわけだからこの秋の愛聴盤になるのが約束されたようなものである。ところで、そのように実にシンプルな音作りながら随所にハッとさせられるような音が信じられない感じで入ってくるのだが、この一筋縄ではいかない音作りはKramerさんによるものなのだった。ここ最近、ちょっと身近に感じているような人だったわけであるが、やっぱり間違いないプロデューサーなのだなあ、と90年代に思ったことをもう一度思い出すきっかけにもなったのだった。