Metal Machine Music

世の中には、自分よりも下と思える人間を見つけるのが上手い人と、自分よりも上と思える人間を見つけるのが上手い人がいるのだと思う。

ブログでの書き込みとかをたまにつらつら見ていると、いかにも上から教えを諭すように(大体はどうでも良いことなのだけれども)書いている人とかがいて、ああ、こういう人は自分よりも下と思える人間を見つけたのだなあ、と客観的に思ったりする。実際上だの下だのというのは全く計れないことなのだけれども、なんとなくその人にとっては自分よりも下と思える人に対して教えを諭しているんだろうなあ、と思うのだった。

まあ別にこれはネット上に限った話ではないのかも知れないが、現実社会に於いてよりもより如実にそういう姿勢というものは、こういう仮想の状況の中で表れるものだなあ、と痛感させられる。別に良い悪いの話ではなく、そういうものなのだろう。だから、最近ネット見ていても逆に現実社会に於ける人間の有り様みたいなものが縮図のような形で出てくるので凄く面白いなあ、とかそういう観点で見てしまうのであった。いやー何かひねてるなあ、とそういう自分もなんかネットを通して発見したくらいにして。

まあ、ちなみに冒頭の上の人、下の人に関して言えば、私の場合上手いとかそういう問題ではなく、私の周りには私よりも優れた「上」の部分を沢山持った人ばかりいるのでとても恵まれているなあ、と別に善人ぶるわけではなく、心底そう思うのであった。そういう状況が幸せと感じられるか、それとももっと自分より「下」の部分ばかりの人を周りに見つけて幸せと感じられるかは全くもって個人の問題だから、どちらが良い、というものではない。しかし少なくとも私に関しては、周りに「上」の人がいるということはとても幸せなことなのかもなあ、としみじみと感じるのであった。

と何か穏やかな感じでまとめたところでZeitkratzerの「Metal Machine Music」を聴く。タイトルからわかるとおりLou Reedのあの名作(というか迷作なのか)「Metal Machine Music」Metal Machine Musicをヴァイオリンやらヴィオラやらサックスやらトランペットやらで再現したベルリンでのライヴを収めた作品である。御大もソロギターで参加している。まあ、聴くまではどんなもんだべ、と半信半疑であったが聴いてみたら物凄く忠実にあの爆音ノイズっぷりが再現されていてぶったまげた。そうそう、こういうトーンでのフィードバック入ってたよなあ、と思って聴いたりしていたがこの作品に於いてはその音はヴァイオリンの音だったりソプラノサックスの音色だったりするわけである。しかし全編違和感なく、あの作品の音の壁のようなものが再現されているのでもしかしたらこれはとんでもなく緻密な、信じられないほど細やかに神経を配らせた結果の作品なのではないか、ということに気づいて恐ろしくなったりする。あのアルバムの所謂ノイズを採譜したりしたのだろうか、と考えると背筋も凍る。そんな中でソロギターで物凄い爆音でフィードバックかます御大のあまりの無法ぶりに笑みがこぼれたりするのであった。後半に行くに従って音圧も盛り上がり、かなり誰かといる時に聴いてはいけない作品である、ということを痛感させられるのであった。しかしこうしてみると、ここまで実はシンフォニック(?)な響きを持つ作品をギターだけで御大は作ってしまっていたわけで、あの作品は単なる物議を醸す作品、というだけではなく、御大の天才っぷりがぶち込まれた歴史に残る作品なのではないか、ということも認識させられるのであった。そういう意味でも非常に意義のある作品。単純に気持ち良過ぎて昇天しそうになったりもするのだが。ちなみにDVD付きであるが、まだ見ていない。きっと何か大変なことになってそうだな・・・。