Love Removal Machine

明日は非常に不本意ながらまたしても仕事で出かけるので、ちょいとこちらの更新は危ういと思われます。もし更新されていたらそれは非常に喜ばしいことに、在宅である、ということになると思いますので、皆様、念を送ってくださいませ。なんか本当に即身仏が鳴らす鈴のようになってきたなあ、このNag3も。

先ほどWOWOWで「かもめ食堂」という映画を見た。そう、今月はフジロックフェスティヴァルの放送がある故、スカパーでの契約を増やしたのである。今月だけである。まあ、おそらく私のことをよくご存知の方なら、フジロックのため、というよりはThe Cureのため、とすぐにピーンと来るであろう。

話が逸れた。「かもめ食堂」である。群ようこ原作、ということでもビシビシに来るものがあるのだが、映画館に見に行っていた同居人の話から見たいなあ、と思っていたし、私がよく読む様々な方々の様々なブログでも紹介されていたので気になっていたのである。

しっかし、これは凄く良い映画ではないですか!!超今更ですが。録画していたにも関わらず、結局全部見てしまった、って超今更ですが。こういう細かいところは置いておいて、心があったかくなるような映画、というのは実に良いものである。それが、決して押し付けがましい感じで「良いでしょー」というのではなく、自然に、ごく自然にそういう方向へと心を向けてくれる、というのが何だか幸せな気分になってしまう第一要因であると思われる。

そして、カメラワークなどは結構凝っているし、映画ならではの面白さが詰まっているように感じられる。カメラワークが、ときにアップと引きで物語を作っている、というと大袈裟だけれども物語にダイナミックな動きを効果的に与えているのだった。

でも、見終わって幸福感に包まれるのだけれども、どことなく寂しい映画でもある。登場人物のバックグラウンドがほぼ描かれないに等しい状態なのに、どことなく、何となく「結局人間はひとり」ということが感じられたのだった。って深く考えすぎですかね。疲れてるんですかね。休んだ方が良いんですかね。まあ、そんな病める魂の意見はどっかにうっちゃって、本当に感動させられる、というかこんな陳腐な表現は忌み嫌うところなのだけれども、心があったかくなる映画であった。ここ最近荒んでいた私の心を落ち着かせてくれたりしたのであった。

という落ち着いた心でThe Cultの「Electric」を聴く。87年のサードである。Rick RubinがThe Cultをプロデュース、というだけでも「!」だったのに、出てきた音が問答無用の、どこまでもソリッドなハードロックだったからぶったまげたものである、当時。12歳だった私でもぶったまげるくらいの事件だったのだ。セカンド「Love」LOVE(紙)も勿論素晴らしいアルバムでいまだに聴くのではあるが、このサードの破壊力たるや別格である。ホントにぶっといギターのリフが全体を引っ張る、しかしそれでいてメロディはそれまでの翳りメロ路線をかなぐり捨てながらも、きちんとポップでフックがしっかりとあるから単調になることもないのである。Ianのヴォーカルも「ヤイヨ!」みたいなシャウトが決まりすぎの、良く鳴る喉を聴かせてくれるし。ここに来て「Born To Be Wild」のカヴァーやってたのはある種のマニフェストの様なものだったのかもなあ、と今感じられる。この路線で行くんだぜ、みたいな。でもこれ以降はちょっと華美な装飾が目立ち(悪くはないのだけれども)、なんか行き過ぎな気もしないでもないが、それでもやっぱりこのアルバムが超重要作であることには変わりはない。今聴いても全く違和感ない、震えが来るほど力強く、ソリッドなハードロックである。