Silver Lining

ということで今日は休みだったので、平日の昼間に街中に繰り出してみたのであった。

日頃「街中=レコード屋」な私であるが、今日は「はなまるマーケットおめざフェア」という、要はデパートでの催事で買い物をして来い、という指令を受けての外出だったのである。平日の街中は人もまばらで閑散としており、ほほう、こういうものなのか、と思って催事場に入るや否や。

物凄い人の波がうねっていて心底たまげた。午後1時くらいに行ったのに、もう完売の店はあるわ、超行列の店はあるわ、挙句の果てには私の足をベビーカーで轢きながら何も言わない親子とか(そいつらには呪いをかけておいた)、最早阿鼻叫喚の地獄絵図がそこでは繰り広げられていていたのだった。

先ほど外で見た閑散とした風景とのあまりのギャップに目眩がしたものであるが、そうか、みんな美味しいものが食べたいんだなあ、と何か同志を見つめるような眼差しになった自分は阿呆か。それでもしっかりと指令どおりに御菓子を買って来たのは私の意地の発露でもあった。

ということで先ほど、買ってきた銀座「若松」のあんみつを食べてみたのだが、あまりの美味さに鼻血が出そうになった。愕然とした。震えが来て無言で食べた。何だ、これは。この寒天は最早ナタデココのような食感ではないか。しかしナタデココではなく、あくまで寒天であって、そこに塩味の豆と絶妙な甘さの漉し餡と蜜が相俟って、なんだか単純な癖にめっちゃくちゃ奥深い味わいになっていて心底感服した。日頃みつ豆とかあんみつとか食べる習慣がないから、というのもあるだろうが、それを差し引いてもとんでもない一品であった。あの阿鼻叫喚の地獄絵図を潜り抜けた甲斐があったものだなあ、としみじみ思ったのであった。

何だよユルイこと書きやがってよ、とか思われる向きもあるかも知れないが、こういう美味しいものとの出会いに全てを賭けないと日常を最早乗り切ることはできないのである。だからある意味斗いの糧となっているものであって、非常に重要なのである。しかし、あんみつ、ヤバイな。これからあんみつのことをメインに考えて日々過ごして生きたいものである。

って結局ユルイことはユルイのであるが。Rilo Kileyの「Under The Blacklight」を聴く。この前のソロアルバムRabbit Fur Coatで私たちを虜にしたJenny Lewis嬢率いるバンドの新作である。実は初めて聴くのであるが、「オルタナティヴ・カントリー」とかそういう触れ込みだった、ように記憶している。しかし、ここで聴ける音楽は、そう、なのか・・・?Jenny嬢の節回しにはところどころカントリー臭さを感じるのだが、ここではダンスクラシック調ナンバーやら、70年代の香り漂うロックやら、素朴な打ち込みを使ったシンプルなナンバーやら、結構ヴァラエティに富んだ音が聴けるのである。そしてそのどれもが、良いなあ・・・、としか形容が出来ない、良い感じの空気に包まれたナンバーばかりなのでこれは傑作なのではないか、と。どの曲にも必ず感涙必至の泣きの展開があって、そこで一気に持っていかれるのである。そう、何だか凄く親しみやすい空気を漂わせていて、こういう作品も珍しいのではないか、と思うほどの微妙なユルさの加減である。とは言えJenny嬢の歌唱も含め、一本筋が入った硬派な感じも同時にあって、そこら辺のバランスも魅力である。

ってamazonにまだないのかよ、こらー!