Hangover

tdsgk2007-07-18


干物女、なる言葉が聞かれるようになって久しい。

どうにもこうにも最近は勝ち組だの負け組だの、人にレッテルを貼ったり、レヴェル分けしたりすることが大好き、という風潮があるようである。やはりあれか、格差社会、というものを大衆が受け入れて自嘲気味になっている証拠なのだろうか。まあ、それは良いのだが、話は干物女について、である。

全く、「恋愛に興味がない」=「干からびている」=「お前は干物女」とは、何とも嘆かわしい。大体「恋愛」を主眼に置いて、それでもってレッテルを貼ったりレヴェル分け、ってどんだけなのだろうか、とか思うが、以前、キャバクラ等に通う我が友人が「やっぱ恋愛トークは盛り上がるし」とか言っていたのを聞くと、どうにもやはり恋愛がメインになるのは避けられないご時勢なのかも知れない。それはそれとして、私が気になるのは、その干物、という言葉である。

最近、私が勝手に「スーパーマーケット界のヴィレッジ・ヴァンガード」と呼んでいる某つかさ屋で「干物語」という干物を発見して以来、「干物語」大ブームが到来している。全国的には知らないが、我が家ではもう大変なことになっている。ちなみに上記「つかさ屋=ヴィレッジ・ヴァンガード」説は一度行ってみればわかるはずである。店員の手書きポップが店内踊りまくっていてもう大変なことになっているから。そして品揃えの独自路線も他のスーパーを寄せ付けない独走ぶりである。

今日は話が大脱線しまくりであるが、それは多分調子に乗ってビールを飲みすぎたせいであろう。そう、話は「干物語」の話である。無学な私は「ひものご」と呼んでいたがどうやら「ほしものがたり」という些か雅(みやび)に過ぎるネーミングのようである。これが凄く美味しいのである。「大吟醸仕込み」という恐ろしい文字が踊るパッケージには多少ビビるのであるが、その割りに1枚100円程度であって、微妙なリーズナブルさ加減であるし、何よりとんでもなく美味い。干物ってこんなに美味しかったのか、と感涙にむせぶこと請け合いの美味しさである。ありがちな半端な生臭さは皆無で、干物にしたお陰で魚の美味さ倍増、と断言しても全く差し支えないような、そんな豊潤な味わいなのである。

もうこれから干物メインの食生活でも構わない、ただその際には是非「干物語」でお願いしたい、とここに宣言しても構わないくらいの半端ない一品なので皆様も是非ご賞味あれ、と本当にここ最近のNag3は食べ物の話ばっかりで辟易なさっている方々もいらっしゃるかと思うが、私の、日々の皆様にお伝えできる楽しい話題なぞこれくらいしかないのであるから、どうぞご勘弁願いたい。

ということで昨日も美味しく秋刀魚の干物、勿論「干物語」をいただいたわけであるが、こうして干物の美味しさに感動すればするほど、誰かのことを「干物女」とか呼んでケタケタ笑っている昨今の風潮は、実に嘆かわしいものである、という思いを新たにするのであった。干物に失礼である。寧ろ「干物語」を食べた後では「干物女」という言葉は誉め言葉なのではないか、と思わせられるはずである。世間一般の干物のイメージを一新するためだったら一肌脱ぐぜ、的な勢いで今私は一杯である。

今日は飲み過ぎかも知れない、と3本目の500缶を開けつつSatoru Onoの「The Days Of Perky Pat」を聴く。酒飲み、と噂の彼の、Second Royalレーベルからのセカンドアルバムである。Second Royalレーベル、と言えば私もDJ等でご一緒させていただいたHalfbyやらHandsomeboy TechniqueやらFredoやらの所属する京都のインディレーベルであるが、そういう方々のイメージとは異なりこちらは実に何と言うか「ギターポップ」なぞという言葉がしっくり来るような音楽である。全曲英詞でそしてどこか拙い発音、そしてちょっと歌いきれてない感じ、というと何か昔よくあったよなあ、という感じがしないでもないが、それを凌駕するかのような、とんでもない完成度の高さのアルバムである。基本的にはギター主導のうたもの、ではあるのだがアレンジの多彩さ、そしてメロディの練られ具合など、舌を巻くばかりである。カントリー風味だったり、良い感じの3連符ロッカバラードだったり、グラム風のずっしりしたナンバーだったり、と様々に表情を変えて次々と曲が続く様は痛快である。もしこれを「歌が下手」とか「どっかで聴いたことあるじゃん」とかいう観点でしか語れないとしたら、それはとても不幸なことである、と断言できるほど、何かこうスカッとするアルバムに仕上がっている。ふとした瞬間に、決して似ているというわけではないのだがThe Pale Fountains、とかThe La's、とかそういう単語が頭をよぎったりもするような、そういうステキな音楽である。The Pearlfishersのメンバーがアレンジに参加、とか本人はMaher Shalal Hash BazTenniscoatsにも参加したり、とかいう話題もあるが、まず何よりもジャケ写が良いではないか、と思ったらamazonでは画像がないらしいので他のところから引っ張ってきた画像を貼っておきたい。グレッチにマルボロウイスキー、というこのジャケで悪い音楽なことがあろうか、否ない。