What For

ちょいと訳あって、「自分が衝撃を受けた1曲」とか「最近はまっている1曲」とかいうのをじっくりと考えてみる機会があったのだった。

しかし私の場合、実は日々衝撃を受けているから衝撃を受けた曲は優に4,5000曲とかそういう世界になってくるし、最近はまっている1曲とか言っても、今日の朝から今の気分と、今から夜にかけての気分は随分違うし、1週間前でも、否、3日前でも大分違うから、少なくとも「最近」というものの定義が「この3日」、否、それでも辛い「この12時間」とか区切られると良いなあ、とかつらつら思いつつ、じっくりと考えてみた。

まあ、結局は自らが異常である、ということの表明に上記は他ならないのであるが、やはり「衝撃」というものを「ファーストインパクト」と解釈すると、あああれか、22年前のアレか、とか「最近はまっている」というのを「この3ヶ月くらいで購入した新譜」と「ここ何日か家で聴いたレコード」と解釈すれば、ああコレだな、とかなるものである。

まあ、上の表現だと随分すんなりと曲を選べたように思われるかも知れないが、それは苦悩に次ぐ苦悩の選択であったことはここではっきりと申し上げておきたいところである。私は多分、我が家にある全ての音源に「衝撃」を受け「はまった」のだなあ、ということを再認識した次第である。

と異常性の再認識をしたところでJamesの「Fresh As A Daisy」を聴く。何と再始動を果たしたJamesの新曲2曲を含むシングルコンピ2枚組である。ちなみに1枚ものも同発されたが、何をどう考えてもこちらの2枚組しかないだろう、というのは分かりきったことである。Factory時代の5曲に始まり、ファーストアルバム、セカンドアルバムをリリースしたBlanco Y Negro時代の曲、Rough Trade時代の曲、そして後の大メジャーバンドとなってからのシングル群、と泣けるまでにそのまんま時系列で並んでいる。初期の何だか素朴なのにひねくれまくったエネルギッシュな楽曲から、メンバーも増えどっしりとした手触りのナンバー、そしてEnoをプロデューサーに迎えて暑苦しくないメジャー感とドラマティックな盛り上がりを兼ね添えたナンバー、と駄曲が1曲もないってのは本当に凄い、と最近も以前出たベスト盤を聴いて盛り上がっていた私としては、嫌でも盛り上がらざるを得ないのであった。新曲2曲も、嗚呼Jamesが戻ってきたんだなあ、と感涙を禁じえない充実の楽曲である。しかし、ただ1つだけ不満があるとすれば89年にRough Tradeからリリースされた「Sit Down」が今回のベスト盤でもやはり91年のFontanaからリリースされたヴァージョンでしか収録されていないことであろうか。89年のヴァージョンもそろそろコンピにでも入れて欲しいものであるが。まあ、そんなことは多少、である。来年アルバムも出るらしいから、楽しみが1つ増えたものである。