Goodnight Rose
今日で6月も終わり、ということは所謂上半期、というものの終わりである。
どうしても昔から、「上半期」という言葉を聞くと反射的に「ベストアルバム」という言葉が連想されてしまう病気の私としては、何だかぼろぼろに疲れた頭と身体で今年前半にリリースされた音源から、誰にも頼まれてもいないし、誰にも期待されていないのにベストアルバムを考えてみたのであった。
Bryan Ferry / Dylanesque
Von Sudenfed / Tromatic Reflexxions
Blonde Redhead / 23
Feist / The Reminder
Wilco / Sky Blue Sky
Gudrun Gut / I Put A Record On
Grinderman / Grinderman
Lucinda Williams / West
Fennesz Sakamoto / Cendre
Maher Shalal Hash Baz / L'Autre Gap
Arctic Monkeys / Favourite Worst Nightmare
Pole / Steingarten
Electrelane / No Shouts No Calls
Throbbing Gristle / Part Two: Endless Not
Ted Leo And The Pharmacists / Living With The Living
勿論他にもとても良いアルバムは色々あったわけだが、今考えてガンガンに聴いていたのはここらへんかと。年間ベストアルバムとかの選出の際に、よくライターとかライターぶったネット上の人が「今年は良い作品があまりなかった」とか書いていたりするわけだが、こういう経験というのは極私的なものである故に、そういうこと言う人は何か多分、朝洋服を選ぶのを間違えたみたいな感じで、聴きたいものに出会えなかったのであろう。
幸いなことに、まだ私は自分が聴きたいものとの幸運な出会いが新作旧作問わずあるみたいで、今年前半もこういった音楽を聴いて生き延びた次第である。
Ryan Adamsの「Easy Tiger」なんてアルバムとの出会いもとても幸福なものである。病的なまでに多作の彼であるが随分久々だなー、とか思っていたら既にネット上ではドカドカ新曲アップしてるらしい。こいつは何者なんだろうか。で、今作は、カントリーワルツのりのナンバーや、フォークロックのような曲など、どの曲も美しいメロディに彼の良いところで裏返るヴォーカルが絶品な、味わい深い落ち着いた作品に仕上がっている。ピアノとスティールギターの絡みなぞも悶死必至で、「Cold Roses」や「Jacksonville City Nights」などこの路線では名作しかないだけに、やはりこのアルバムも当然ながら傑作なのである。しかし今までに比べるとどこか甘さを抑えたような、よりソリッドな、より渋い印象を受ける。そういえば確か彼は私と同じ年齢だったと記憶しているが、やはりこれくらいの年齢になるとコレくらい良い味の渋みが出てくるものなのだろうか。そういうものなのだろうか、とまだまだガキの私は思うのだが、多分彼の次作あたりは大暴れロックンロールアルバムになってるんではないだろうか、と邪推できたりする、そういう楽しみもあるアルバムである。Sheryl Crowが何気なく参加。