Add Your Light To Mine, Baby

本数は減ったとは言え、相変わらずの喫煙者である私である。

そのお陰で人非人扱いされるのには最早慣れっこではあるが、そういう扱いを私にしたり、そういう侮蔑的な発言をしている連中の、正義の味方なんですよ、で貴方は悪なんですよ、という感じの表情を見るとぶっ殺したくなったりするものである。

人間、大勢を味方につけると大きく出るものである。もしくは自分の方が絶対に正しいとわかっている(ような気になっている)時は。クレーマーの態度などまさにその通りで、実に人間の醜悪な本性を見る思いである。喫煙者を攻撃するときはアナタも気をつけた方が良い。あなたの嫌う喫煙者よりももっともっと低俗な人間である、ということを知らず知らずのうちにさらけ出してしまう時があるのだから。

大体にしてそういう人は自分に酔っているから何も気づかないのだ、人間の醜さに。そうやって攻撃している人間に限ってゴミを分別しなかったり、自転車に無灯火で乗ったり、放火したり、万引きしたり、テロを起こしたり、核戦争を始めたりしかねないのである。何をオーヴァーな、と思うかも知れないが、そういう人間の醜さに無自覚な人間こそが、この世の破滅を招くのである。

私はもう、はいはい煙草吸ってますよ醜悪ですよ、と認めることによって、喫煙を咎めるような人間との斗いを放棄したのである。「怪物と闘うな。あなたが怪物になってしまうから」というニーチェの言葉を出すまでもなく、己が充分自覚している醜悪さを相手が無自覚にさらけ出している醜悪さでもって純度の高いものになぞしたくないわけであるから。

まあ想像力と自己認識、が欠けている人間共ばっかりのこんな世の中なわけである。と荒れているのは何だか今日が非常に長い1日だったから疲弊しているのかも知れない。たまにはこのように断定の嵐のNag3も楽しいではないか、ということでLucky Soulの「The Great Unwanted」を聴く。UKのバンドのデビュー作である。なかなか店頭に並ばないから注文したらあっという間に店頭に並んでいて結局遅れてやっと入手できた、涙のアルバムである。これがまたサラリとしていて良いのである。60年代風女性ヴォーカルポップス、と書くとああまたね、と思われる向きもあるかとは思うが、まあそんな感じである。しかし仮にこれが95年くらいにスウェーデンからデビューなんかしていたら、もう大変なブームになってただろうなあ、と思ったりした。このバンドの特徴はストリングスやホーンなども入ってゴージャスなアレンジにはなっているのに、どこか借り物っぽく、且つあくまでギター中心のソリッドなアレンジであるとことであろうか。なんかバランスが面白い。曲はバカラックのナンバーを彷彿させるような流麗なナンバーもあれば、ノーザンソウル風のタイトなナンバーまであって、実に楽しく聴ける。全体的にとてもポップでキュートな感じが漂うが、特筆すべきはヴォーカルのAli嬢のソウルを微塵も感じさせないようなキュートなヴォーカルであろう。こう書くとマイナスなイメージかも知れないのだが、この音楽性で例えば黒人女性がソウルフルに歌ってしまったら何ら面白みがないわけであって、そこら辺の微妙な匙加減が実にプラスに転じているのである。エネルギッシュになって、ジャズ風味を押さえたKalima、とかいう形容をしたところで上手く伝わるのかどうか甚だ疑問ではあるが、そう思ったりした。しかし面白い新人バンドはいつの時代も必ずいるもんだなあ、としみじみ感じるのであった。