Lovers Who Uncover

疲れてくると妄想が酷くなる私であるが、ここ最近妄想がちなのはやはり疲れているからなのか。

今日も今日とて、デパートからお中元ギフトのカタログが送られてきて、パラパラ眺めているうちに、あーこれが良いなー、とかこれがもらえたらどんなに幸せか、と考えて止まらなくなり、そのまま妄想タイムに突入して5分くらい過ごしてしまってから、はっと我に返ったのであった。

危険すぎる、と言えば危険すぎる(あの浅井健一の唄は確信犯すぎると思うのだがいかがか)のであるが、その瞬間は全てから、そう、世界やらこの世の中の下らぬことから完璧に隔絶され、自分だけの幸せな世界に入り込めるのは、ある意味大変に貴重なことである。殊にここ最近の怒涛の日々の中に於いては。

しかし妄想を妄想だけに留めておくのは勿体無い。今回の私の妄想の要因であるお中元ギフトカタログの何が私の心をこんなにも捉えたのか、と言えばアサヒの「プライムタイム」というビールのギフトセットとエビスの「ホップ」というビールのギフトセットである。嗚呼、この妄想を止めるためには、これらをただ誰か、送ってくれるだけで良い、というのに!

とやっぱり妄想からイマイチ抜けきれてないままに、The Little Onesの「Sing Song EP」を聴く。これは数枚のシングルをコンパイルしたミニアルバムである。何だか巷で噂になっているから名前だけはよく覚えていたのだが、これはとても良い。シングルでリミックスをZongaminだのStereolabだのが手がけていたり、というところからなんだか気にはなっていたが、そういうとんがった印象だけで聴いてしまうと、実に肩透かしを喰らうほどにフツーのギターポップ、というかそういう感じの音なのである。そう、実にフツーなのである。シンセの入れ方辺りには実に小技が効いているが、やはり全体としてはごくごくフツーに良い音楽、という感じのまとめに落ち着く。しかしそのフツーさは、実は派手さはないものの丁寧なソングライティングとかコーラスとか、とてもすっきりとまとまった音作りとか、そういう決め細やかなものを積み重ねた成果のフツーさなのである。この間のLoney, Dearを聴いた時にも感じたが、過剰なサムシングが求められる時代は終わって、こういう風にどちらかと言うと裸一貫で勝負してくような音がこれからもやはり生き続けるのであろう。何だか初々しい感じが端々から感じられて実に微笑ましいが、実はこのフツーさを醸しだすかっちりとした感じはタダモノではないのである。何だか忘れていた、こういう音楽が持っているワクワクさせてくれる感じがビンビンに伝わってきて新鮮である。屈託のないメロディラインが染みるなあ・・・。