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最早我が家の第2の居間として焼き鳥居酒屋「大吉」が大活躍なのはこのNag3を熱く読んでいる諸兄には御馴染みかと思う。

ということで今日も懲りずに、あまりに頭に来ることがありすぎだった1週間の打ち上げとして行って来たのであった。今日も今日とていつものメニューに目を通し、大していつもと変わり映えのせぬオーダーをしたが、それによって得られる満足度の高さというのもは大変大きなものである。もしかしたら気取った人からは「あんなチェーン店の大吉なんてさ」とかわかったような意見を寄せられるかも知れないが、最早そんなことは何ら関係ない。私は、そんな風に勘違いしてお高く留まっている方々には唾棄するような、パンクスピリットを持って大吉に行っているのであるからして。

しかし大吉では今、スクラッチキャンペーンを行っているのであった。否、別にQ-Bertがいるとか、DJ Kentaroが、とかいうスクラッチとは関係なく、単に削って何かが出れば景品が貰える、というそれだけのことであるが私共が行ってこすった結果、小吉と大吉が出たのであった。結果、もらったものは大吉ステッカーと水割りウイスキーの小瓶であった。

まあ、良い、なかなか良い。それをしょぼいとか言う人々は一生口をききたくもないものである。しかし、私共よりも先に退席した女子達は大吉Tシャツを貰っていたりした。Tシャツマニアとしてはなかなかに惹かれるものである。今年の夏はコレで決まり、的な究極のファッションアイテムではないか。ウィスキーとステッカーで喜んでいる場合ではない。やはり「大吉」愛好家としてはTシャツも貰わねば話にならないのではないだろうか。

ということでキャンペーン期間中に足繁く「大吉」に通う口実ができたのう、とほくそ笑んだところでIggy Popの「Brick By Brick」を聴く。90年のアルバムである。この時期は彼も多分にノリにノッていた時期なのではないだろうか。そんな充実ぶりが窺える力作である。当時Guns 'n' RosesのメンバーだったSlashやDuff、Keith RichardsのバックだったメンバーやらDavid Lindlay、John Hiatt(カヴァーまでやっている)、B-52'sのKateなど豪華なメンバー陣が揃っているが、何よりも特筆すべきはヴォーカリストとしてのIggy Popの充実ぶりであろう。意外に美声である、ということはなかなか指摘されていないことであるが、彼の低音の効いたヴォーカルはかなり味わい深いものがあり、それが楽しめるのはやはりこのアルバムなのではないか、という気がする。勿論、パンクのゴッドファーザーとしての彼の存在は大きいものであるが、それ以上にイカしたヴォーカリストとしての彼の偉大さをしみじみと感じられるのがこのアルバムなのである。ハードロック調のエッジィなナンバーも、ここまでやるか、というくらいのポップなナンバーも、アメリカンロック的大らかなナンバーも、結構バランス良く収まっているのがこのアルバムだと思うが、そのちょっと気を抜くとバランバランになってしまいそうな楽曲群をギュッとまとめたプロデューサーのDon Wasの手腕も素晴らしいものがある。曲がとにかく粒揃いなのでそこで伸び伸びとやっているIggy Popの姿を充分に感じ取れる傑作である。これ以前、もしくはここ最近の作品よりもとにかくバランスが良くて、もしも最初にIggy Popのアルバムを聴くとしたら、みたいな質問を私がされたりしたならば確実にこれを挙げる、と言い切れる、そんなアルバムである。