Hank Williams

ここ最近のNag3が何だか暗いような気がしてならない。

これは多分に、心に余裕を持って文を書く、ということに向っていないからであろう。これはいかん。日々激昂したり疲弊したりして食事して音楽聴いて寝て、とかいう生活をしていると必然的にここ最近のような文章になってしまうわけである。かと言って愚痴をダラダラと書いたり、実は幸せなはずなのにそれを素直に喜べない自分をグダグダと書いたり、とかいうよくあるパターンのブログみたいなものになってしまうのも、私の性格から言って許せない。であるからして、なるべく表面的ではないように、と内省してしまうとここ最近のテンションになってしまうのである。

というかNag3にしたってグダグダやっているのには変わりはないし、別に今更何をかいわんや、であるのは百も承知である。それでも最後の一線で何とか踏みとどまっていきたいところなのである。しかしかように内面では思ってそういう志でやっているにも関わらず、どうにもこうにもアウトプットがグダグダでは単なる言い訳になってしまうのはいかんともしがたいところである。

って今日も今日とてあまりにも激昂しすぎた故にやっぱり頭の中の樹海の奥深くにネタが埋もれてしまったのでこういう内容になってしまっているのだが。ということでRy Cooderの「My Name Is Buddy」を聴く。Buddyという名前のネコが仲間と共に昔のアメリカを旅する、というコンセプトのもとに作り上げられたアルバムである。歌詞とは別に各曲毎にストーリーがついていて、そこら辺を読むと農家の抱える問題、労働問題、斜陽の町、などの昔のアメリカが抱えていた問題を炙り出していくような、コンセプト的には前作にも通じるような(前作はヒスパニック系視点からの物語であったが)作品である。歌詞も当然ながらそれに沿った内容で、各曲毎、ストーリーを読んでから歌詞を読むと、なるほどなー、とか思わせられたりする。と来ると詞がわからんと全くつまらないようにも思えてしまうかも知れないが、決してそうなってないのがこのアルバムの魅力である。ここ最近の彼の突っ走ったような、打ち込みバキバキも辞さないような感じから一転、フォーク〜ブルーズ、的古き良き、シンプルな、アクースティックギターの音色やバンジョーフィドル等の音が印象的な、誤解を恐れずに言えば「ユルい」感じのアルバムに仕上がっているので、ぼんやり聴き流すだけでも充分に楽しめる。Van Dyke ParksにPete Seeger, Mike Seeger, Jim Keltner,そして自身の息子、と結構豪華メンバーによって製作されているのだから悪いわけないのであるが、それらの名前から連想される以上に何かマジックが働いたような、ユルいのにしっかりと緊張感は全体に保たれている稀有なアルバムである。もしかしたらユルい印象は自身のヴォーカルのせいなのかも知れないが、それが実にアルバム中では良い塩梅で、味わい深さを醸しだす大きな一要素にもなっているのだった。