Turn Off

tdsgk2007-06-07


やはり今日も言いたいのは世の中「何も考えてないマジメ」という奴が一番性質が悪い、ということである。しかもこういう人間に限って、自分の経験とか直感とかのみを頼りに、他人に影響を与えるようなことを平気でしてしまうから、世の中良くはならないのである。

「真面目が肝心」というのはオスカー・ワイルドの作品のタイトルではあるが、確かにそれはその通りではある。しかし今の世の中、マジメ、というだけで何も考えていない輩が多くて、だから何かイマイチ抜けるようなことが少ない世の中になってしまっているのである。

でももしかしたら世の中一番のさばるのはこういうタイプの人間なのかもなあ、と悲しい思いを抱きながらMilltown Brothersの「Valve」を聴く。93年リリースのセカンドアルバムである。マンチェスターブーム華やかなりし91年にデビューした彼らである。そのデビュー盤では、世の中の流れとは関係のない、良いソングライティング、良い演奏、ということに集中したような、素朴で実直な音楽が詰まっていて愛聴したものだが、このセカンドでもその基本線は変わらず、さらに骨太に逞しくなったギターロックを聴かせてくれる。何か青いのである、彼らは。デビュー時から変わらずに、つまりその青さを保ったままに逞しくなったわけだから悪いはずがない。ちょっと癖のある声質がいつまでもヤンチャな感じを出しており、そこがまたポイントなのである。Bob Dylanのカヴァーもエネルギッシュで楽しいし、何より捨て曲が1曲もない巧みなソングライティングにはいまだに唸らせられる。そしてギター中心のバンドではあるが、小技の効いたオルガンの音もここでは印象的で、なんだか60年代のビートグループ的な趣も感じられる。久々に聴いたが、いまだに盛り上がれる音である。まあ、ブレイクもせずに解散、その後一回再結成、というニュースは聞いたがその後の活動はわからない。でも忘れ去られてしまうにはあまりにも惜しいバンドである。Trash Can Sinatrasが根強い人気を誇るだけに、そのような感じで行ってもらいたかったものであるが、このMilltown Brothersはもしかしたら所謂ネオアコ、というには逞しすぎ、マンチェ期のバンドという括りでは実直すぎたのかも知れない。落とし所がないバンド、というのは得てして損な役回りになってしまうものなのである。