King Kong Five

AOBA NU NOISEにお越しの皆様、ありがとうございました!早めにお暇してしまいましたが、DJ CASSINさんはやはりとても面白いプレイで興奮しました。

ところで今日色々な若い人とお話しして、「最近何を聴いても同じみたいに思えて面白くない」的なことを結構色々な人が言っていて、ほほう、そういうものなのか、としみじみ考えてみたのだ。

自分のことを鑑みるに、そういうことって今まであったかな、と言えばない。全くない。レコード屋で働いていたときでさえ、「レコード屋で働くと家で何も聴きたくなくなる」とか言う人もいたが、思えばそういうことすらなかった。

何だろ私はおかしいのだろうか。昔から何かしら聴いて面白いものは必ずあったし、いまだに面白すぎて面白すぎて、寧ろ何とかして欲しい助けて、という勢いである。多分何かが自分の中では常に欠落していて、そこを埋めるために何かしら聴くものが常に必要なのかも知れない。だから聴きたいし、聴いて面白いのかも知れない。ということはやはり「何聴いて良いかわからない」とか「何を聴いても面白くない」とかいう意見が言えるくらいマトモな、つまり欠落部がないような人間にならなければならないのであろうか。

あーということは最早手遅れだな。だって今日も今日とてAOBA NU NOISEで色々聴いたりした後にMano Negraのベスト盤を聴いているのだし。80年代末期から90年代初頭にかけて駆け抜けたフランスのバンドである。当時はミクスチャーロック、というかそういう感じのムーヴメントが起こり始めたような時期だったように思えるし、そんな中でゴッタ煮な感じで、しかもフランスから、ということで盛り上がっていたような気がする。とは言え当時は私は思いっきりスルーしており、この間Mick Harveyが新作でカヴァーしているのを聴いて初めて興味を持った、という体たらくであるからあまり大きなことは言えない。ということでまたまた反省しながら聴いているが、格好良いな、これは。このベストにもライヴ盤から何曲か収録されているがそこで聴ける竜巻のような、狂乱のパーティのようなテンションには圧倒される。ブラス隊もパーカッションもエネルギッシュにフィーチャーされて凄く楽しい。勿論スタジオ録音の曲でもその勢いは損なわれることなく、ラップもファンクもパンクも、更にはジプシー風な要素も全て飲み込んで全編エネルギーが漲っている。歌詞もフランス語だったり英語だったりスペイン語だったり、そこら辺も凄く面白い。でも全体として変に洗練されておらず、非常に生々しいところが大いに好感が持てる次第である。ということで今更その魅力を発見した私であるが、どこか哀愁が漂っているところが一番惹かれるところかも。何かThe Clashを聴いているのに近い感触を覚えてしまったのであった。