Money Changes Everything

過日、某リサイクルショップ、というかゲームだの漫画だのCDだのレコードだの古着だの楽器だのおもちゃだの、をガンガンに扱っている店に行った。

何度も行っては暇つぶしに色々見ていたりしたのだが、何か客層の荒廃した感じ、というかいわば田舎のヤンキー臭いアトモスフェアが味わい深過ぎてちょっとアレだなあ、と感じたりもしていた。まあ、それはこの際関係ない。問題はちらと見てみたレコードコーナーで「詰め放題1000円均一」という恐怖の企画が開催されていて思わずあっつくなった。

まあ、あまりコレだ!!というものにめぐりあえないのは承知の上で久々にMUROばりに指真っ黒にして全部ガンガンに掘ってやった。ちなみに指黒くなったのは、そこのレコードがなんだか埃っぽい、ということも大きな原因であって、別に勲章のようなものでは全然ない。

話がそれた。で11枚を1000円で購入してきた。多分これはダサいだろうなあ(実際ダサかった)と思っていたOMDのアゲアゲリミックスとか、こりゃ全然駄目だろうなあ(実際微妙だった)David Bowieの「Heroes」ネタのアゲアゲの12インチとか、うわーこれは最近欲しかった奴だ!と興奮した(しかしレンタル落ちでライナーなかった)Mick Karnのソロアルバム、とかまあまあまあまあ、の収穫であった。

でまあ帰途についたのだが、その道中、なんだかとても空しい気分が私を襲った。思えば私が音楽聴き始めた頃って、こういうレコード盤はオープンしたてのタワーレコードで2000円前後だったよなあ、買うためにお小遣いためて嬉しくなって自転車に乗って買いに行ったりしたよなあ、12インチはなんだか長くてわけわからんなあ、と思いつつもLPの半額くらいの値段だったから手が出しやすかったよなあ、とか色々ノスタルジーも入り混じって微妙な気分に襲われたのであった。

多分聴く時の興奮の度合いはあまり変わってはいないと思うのだ、自分でも奇跡的だと思うくらい。でも別に値段の問題ではなく、なんだか投売りみたいな感じになってくると、20年前に光り輝いて見えたあのアナログ盤がとても不憫に思えたりもしたのである。一応私は選んで買ったが、なかにはテキトーに買ってテキトーにしまったり、放り出したりする人もいるんだろうなあ、と思うと、何だか傲慢な感じであるがちょいと隙間風が吹いたりしたのであった。

とは言え安く買えるのは私のような人間にはとても嬉しいことなので大歓迎ではある、という全てを無に帰すような結論になってしまうのだった。でも昨日の11枚は微妙だったり駄目だったりしたけれどもまあ、楽しい感じのものばかりだったので、ざっくりと昨日聴いたけれどもどれもやはり興奮して聴いてしまったのだった、Pet Shop Boysの12インチとか。

で、これもそんな1枚。Cyndi Lauperの「She's So Unusual」を聴く。83年の、ソロではファーストにあたるのだろうか、というアルバムである。絶対誰もが聴いたことがあるだろう名曲が何曲もぎゅっと入ったアルバムである。これが昨日の収穫の中では一番嬉しかったかも。ベスト盤とか持ってるからシングル曲は全部聴いたことがあるが、その大半が彼女がオリジナルではなくて、他のバンドの曲のカヴァーである、という事実を知って20何年ぶりにビックリしたのであった。もうエアチェックしたテープを擦り切れるほど聴いた曲ばかりのA面、結構レゲーっぽいナンバーとかSP盤みたいな加工のナンバー、彼女のヴォーカルでとんでもないなあ良い意味で、としみじみさせられるナンバー、とヴァラエティ豊かなB面、とあっという間に聴き倒してしまった。80年代ポップス、という言葉がある種軽蔑的に使われたりする中でこのアルバムもその部類に入れられてしまいそうだが、そんなことには関係なく本当に掛け値なしのスタンダードなアルバムであろう、って11枚1000円の中の1枚だったのだけれども。Princeの「When You Were Mine」のカヴァーも、これまたPrinceの唄い方を完コピしたような(フェイクの入れ方まで同じ)感じで、逆に非常に新鮮であった。