The Tape

以前にも何かこれに類することを書いた気がするが、どうやら本当にカセットテープが消え行く時代が来たようである。

私の福島在住の歩くエンパイア・バーレスク、というか風に吹かれる友人が教えてくれたサイトを見てみると、イギリスでは大手家電量販店では最早カセットテープを置かなくなり、そしてカセットデッキももう売らない、ということになっているようである。

で、その件の歩くローリングサンダーレヴューな友人が教えてくれたサイトを見ると、色々な人々がカセットテープについて自分の思うことを述べていて、まあ完全にノスタルジーというか思い出なのだけれども、それを読むといかにコンピレーションテープ作りが大きな影響を各人に与えたことか、と感心せざるを得ない。

それは「自分の好みを知ってもらいたい」とか「女の子(あんまり男の子、という風にはなっていないようであるが)を落としたい」とか様々な動機はあるようだが、ある種思春期の衝動のひとつの表れのようなものだったようである。それが今ではCDを焼いたり、とかそういうことに変わっていっているわけであるが、やはり皆することなのだなあ、と思ったのだった。私の周囲にたまたま集まっただけかと思っていたが、そうではないようである。

問題はいまだに私の周りではそういうことをして喜んでいる同世代の人間がいて、私もその1人である、ということか(流石に女の子を落とすために、とかモテるために、という動機では作らないし、また、作ったところで気持ち悪いことになるだろうし、道徳倫理上もはやそういうことをしてはいけない立場にあるので作らないが)。いやー皆さん思春期真っ只中ですねーって思いっきり私もそうなのだけれども。ということは老化防止のために、否、若さを保つためにも「俺コンピ」を作ることが大事なのである、という些か過激な結論に至っても仕方がないということである。

ということで皆さん、お互いの若さを保つためにも、もしくは自己紹介する、という点からでも、ガンガンコンピCDを交換しようではありませんか。なんだったらこのNag3を介して交換大会やっても良いなあ。誰が見ているのか最近わからなかったりするし。

という意外な健康法、意外な展開を見せたところでSondre Lercheの「Phantom Punch」を聴く。前作「Duper Sessions」Duper Sessionsではしっとりと落ちついた、仄かにジャジーな歌声を聴かせてくれた、ノルウェーの若手の新作である。これがまたガラリと作風の変わったエネルギッシュなロックンロールアルバムなので度肝を抜かれる。確かにジャケからして大分ノリは違うが、ここまでとは思わなかった。それでも「やってみたんですけど」的な付け焼刃臭は全くなく、本気全開のナンバーばかりなので爽快、且つ痛快である。この人の場合、何よりもしっかりとした曲が核にあるので、決してブレることはないのだなあ、と痛感させられる。今作でも全盛期のThe Wannadiesを彷彿させるような、若々しくエネルギッシュ、それでいてしっかりとポップなメロディと凛とした歌声が絡みあうロックンロールを楽しめる。こうなってくると次どうなってるんだろう、と楽しみで仕方がなくなってくるのであった。