Chromosome Damage

もう安物買いの銭失いはたくさんだぜ、と思ったのだった。

と唐突にスタートしてみたが、それは何の話かと言えば職場で履くサンダルの話である。私の場合、別にこんなのに金かけたくねえや、と日頃ユニクロやら生協やら東京靴流通センターとかで激安状態になっているサンダルを購入して履いていたのであるが、やはり3ヶ月くらいでぶっ壊れてしまうのである。

壊れ方は皆同じで、足の甲を支える部分が、根元から剥がれて歩くのがほぼ不可能になる、という状態になってお陀仏、というパターンである。この間まで履いていた奴なぞは、歩いていたら突然壊れたので、思いっきりこけたりしたのであった。

安いから良い、というのもあるのだが、こうも毎回歩きづらい思いをして、しかもすぐ壊れてしまうのでは全くもってお話しにならん。考えてみれば年間を通して一番長い時間履いている履物、と言えばこのサンダル、というか上履きなのであるという事実にも気づいてしまったわけだしこれは気合いを入れねばならない、と思い一念発起したのであった。

遂にビルケンシュトックのサンダルを上履きにする日が来る、とは自分も随分大人になったものだ、と思うのだが今までの買ってはすぐ壊れ、買ってはすぐ壊れ、という経験の積み重ねで払った代償に比べれば安いものである。安いはずである。安いと信じたい。とどんどん弱気になっていっているのだが。
しかしこのビルケン、やはり履き心地が今までのユニクロ生協流通センターサンダルに比べると、全く違う。雲泥の差である。まず何よりしっかりと足がホールドされて動きやすい。それでいて決して違和感を感じるようなきつさがない。何か動きが軽やかになった、ような気がする。おおこんなにも違うのか、と人知れず涙したりしたのである。

しかし唯一難点があって、私は土踏まずが全くない、恐怖の偏平足人間なのであるが、このビルケンのブツはしっかりと土踏まずをホールドするような底のデザインになっていて、毎日かなり土踏まずの、否、土踏まずがあるであろうと普通の人なら想定される部分がかなり刺激される。仕事を終え靴を履き替える時には結構、土踏まず、否、土踏まずがあるであろうと普通の人なら想(以下略)にかなり違和感がある。と言うかちょっと痛かったりする。しかしこれは私の土踏まず矯正キャンペーンの第一弾なのだ、これが段々と効いてきて私の偏平足も普通の人間のように土踏まず付きの足になるのだ、と信じ込んでやり過ごしている毎日である。

ということでなかなか悲喜こもごものマイサンダルライフであるが、せめてこのビルケンの野郎が長持ちしてくれることを願うばかりである。そうでないと、今回の私の一念発起は全く意味がないものになってしまい、今後の人生に於いて二度と長い目で見た買い物ができなくなってしまうからである。そういう瀬戸際なわけであるから、このビルケンはなかなかの重責を担っているのである。そこんとこわかってもらいたいのだが、如何せん相手はサンダルであるからなかなかわかってもらえず、思いは一方通行のままなのである。

あー今日も下らんことに情熱をかけてここまで書いてしまって・・・。という思いと共にChromeの「Anthology 1979-1983」に対峙する私である。これはかっこよすぎる!!!と久々に私の悪い血が騒ぐような、そういう音楽である。ところで私はこのNag3で書いてる音楽書いてる音楽、全て誉めてる、というか気に入っているように思えるかも知れないが、それは事実である。実際かなり興奮しながら書いているのである。勿論、程度の差はあれど、私が金払って我が家に持ち帰ってワクワクしながら聴いている音楽は、不思議なことにどれも私の心に訴えてくるから、それをここに記しているのである、って何かウザイからやめておこう。それはそれとして、このChromeであるが、Helios CreedとDamon Edgeの2人を中心としており、特筆すべきはシンセの多用っぷりであろうか。結構無表情なドラムと(事実ドラムマシーンを導入したりもしている)シンセの音、というとどうしてもSuicideとかと比べたくもなるが、こちらにはしっかりと攻撃的なギターが入っているぶんだけかなり肉感的であるし、かえって手触りも不思議な感じがする。まあSuicideの場合は完全に「ビートは打ち込みなんですよー」と宣言しているような感じのチープ極まりないビートなわけであるが。このChromeは、その、肉感的であるのにどうにもどこか冷たい感じ、というバランス、そしてGang Of Fourもかくや、というくらいの激しいギターの切り込みカッティング、と最早サイケっぽいとも言えそうなギターの音、更には何だか叫んだりなんだかしてるヴォーカル(たまに遠くで聴こえる)、と私的には嫌いになる要素がない音楽なわけである。もっとまとまったり、もっと荒っぽかったりすれば色々はっきりするのかも知れないのだが、そのどっちつかずなところが何だか凄く新鮮で格好良いのである。後期になるとそのどっちつかずなところが音質的にちょっと整理されたりして寂しかったりもするのであるが、根本的には何か割り切れない、そういう格好よさがあるのだった。曲によってはまるでNeu!とThe Sisters Of Mercyが宴会やってるような曲もあって、嗚呼こういう世界からは逃れられないのだあ、と己の運命を悟るのである。