Estranged

日頃無感動、且つ冷酷非情(とまでは思われてないだろうし、自分でもそうは思わないがつい勢いで書いてしまった)な私ではあるが、たまには涙するほど心動かされることもある。

大抵の場合は、泣ける映画だったり泣ける本だったり、という感じなのであるが何故か知らないが、理由もなく泣けてくる、ということもある。恐らく誰もが、あまり大きな声で言わないだけであるはずだ、と勝手に確信しているのだが。

過日、スカパーでウルフルズ15周年記念特番を見ていて、ライヴの模様もあったのだが、本編ラスト「ええねん」の演奏でマジで号泣してしまったのであった。もともと好きな曲でよく聴く曲であったのだが、このライヴでは何故か知らないが止め処もなく涙が流れた。自分でもびっくりした。

まあ曲そのものが泣ける、というのもあるのだがライヴの光景が、普通に、しかしあっつく演奏しているだけなのに、何故だかとてもエモーショナルだったのだ。それに心動かされてしまったのであった。録画してあったので3回くらい見たのだが、その度に泣いていた。なんだろ疲れてるのか。それともまだまだ私にも人間の個心が残っていた、という証拠なのか。

という何か感動的な経験をした後に全く関係なくKTLのファーストアルバムを聴く。Sunn O)))のStephen O'MallyとPITAのユニットである。Editions Megoからリリース、というのもあれだが、音の方は実に荒涼としたものである。極北のエレクトロニクスと極北のストーナー、というかデスメタルとの出会い、というのも考えるだけでも凄いが出てくる音はもっと凄い。いつ果てるとも知れぬ激ドローンが20分以上続いたり、という展開があるかと思えば、重ーいギターのぎやーん、という音が常軌を逸した音量で切り込んできたり、と何も起きない音響工作と思いきや結構ヴァラエティ豊かな、且つアグレッシヴな音を聴かせてくれている。まあ物凄く乱暴、且つ手っ取り早く言ってしまえばエレクトロニクス多目のSunn O)))ということなのである。しかしそれでもやはりヴォリュームの異常さはあれど、全体的に不思議と不気味に落ち着いたトーンでまとめられた、優れたデスアンビエントな作品である、って今造語しました。しかし落ち着いてはいるのだが、やはり雰囲気は思いっきり不穏でジャケのアートワークとか眺めていると、1人では聴かない方が良いかも、と思わせられる怖いアルバム。でもこれはマジで傑作だと思う。