Everybody Wants To Rule The World

例年になく充実していた連休も今日でお終いなのである。

まあもし毎日が休みだったら、それはそれで多分苦痛なのだろうが、たまにこうまとまって休みが続くと非常にありがたいものである。普段滅多に休みが連続して2日以上になること、つまり土日が両方休みになることなぞない私にしてみれば「明日も休みだ」という気持ちになることが非常に珍しく、その有り難味をしみじみと感じたのであった。

まあ、はるばる遠方から友人が訪問してきてくれたことも今回の充実した連休の大きな要因であろう。別に何をしたというわけでもなく、単にレコ屋周って酒飲んでわいわい話して、ということをしただけなのであるが、それだけでも大いに刺激になったし、まさに連休ならではだなあ、という感じである。

ということで五月病が心配ではあるが、この連休で得た充実感を少しずつ少しずつ切り崩して乗り切って行きたいところである。切り崩し尽くしたらその時はその時で勝手に連休を作って休むとか、そういう荒業が私にもそろそろ必要であろう。

と勝手なことばかり言っているがPatti Smithの「Twelve」を聴く。最初はカヴァーされている曲目を見て、んーどうしよっかなあ(スプーキー・ルーベンではない)、と迷っていたが一発決めないと、と一念発起して聴いてみた。結果:間違いないアルバムである。彼女自身によるライナーがとても面白く、それを読んで聴くのと読まないで聴くのでは大違いではあるが、カヴァーアルバム、みたいなアイディア自体は随分昔からあったようである。しかし、ここで聴けるのは良い具合に肩の力が抜けたカヴァーヴァージョンばかりで、それが逆にとても新鮮で凄くすっきりとしているのである。The Rolling StonesとかThe BeatlesとかCSN&Yとか、そういう有名曲のカヴァーが実に普通にやっていながらも凄く新鮮なのはPatti Smithならではなのだろうが、それでいてダルいことになっていないのもやはり流石なのである。奇を衒ったアレンジにはどれもなっていないが、唯一Nirvanaのカントリー、というかそういうスタイルでのカヴァーが耳を引く。しかしそれもライナーを読むとなるほどなー、と納得して聴いてしまうので全く違和感なく楽しめる。Tears For Fearsのカヴァーが意外で楽しみだったが、実に普通な感じでとても素直なカヴァーで、そして結果的に普通に良い、という実に謎な展開であった。個人的にはBob Dylanのカヴァーが、原曲は知らないのだが、とても優しく、それでいて力強い歌と演奏でグッと来た次第である。そう、Patti Smithが、肩の力を抜いたような感じで、普通にやって普通に良い、というアルバムを出したこと自体が大変なことなんではないだろうか。ここ最近のアルバムよりも明らかに愛聴しそうな勢いではある。