It's All A Lie

何だか膝が痛いのである。

昨日の朝からずっと痛い。四六時中痛いわけではなく、曲げるのが非常に難儀な感じ、と言えば伝わるであろうか。突然なったものだから思い当たるフシがない。まさか過日の「さらば青春の光ごっこを(期せずして)した時の後遺症なのだろうか。どこにもぶつけてはいないはずなのであるが。

しかしこのようにちょいと身体に不具合を感じると、「普通の状態である」ということがいかに尊いことか、ということをしみじみと感じる。つまり階段とか、段差とか、そういうちょっとしたところでもいてて、とかなるわけで、バリアフリーの大切さを身をもって知る日々である。

しかしこの痛み、なんだろうか。リュウマチ・・・?まさか、とか思うのだが、思えば私の家系はどうもリュウマチ関係者が多く、父も祖母もだったりするから笑えない。まさか今の段階でそれはないだろう、とは思うのだが、あながち、という何ともブルーな結論しか導き出せず項垂れる5月の頭の日々である。

Keren Annの「Keren Ann」を聴く。イスラエル出身でフランスで活動する女性シンガーソングライターの新作である。思いっきり今までノーチェックであったが、今回の初の全曲英詞によるアルバムは、とんでもなく素晴らしいので出会えてよかった・・・、としみじみ随喜の涙を流すことができる作品なのである。何でもFrancoise Hardyの再来、とかフランスのSuzanne Vegaとかそういう呼ばれ方をしていたらしいが、今作で聴ける音はもっと深い。曲によっては健康的になったMazzy Star的な深いリヴァーヴとのっつぉいビート、甘いヴォーカルと甘いメロディ、という数寄者にはたまらない(←私のような)世界になっている。他にもまるでトラディショナルソングのような、素朴なアクースティックギターのアルペジオが印象的な曲も、The Velvet Undergroundを彷彿させるようなロックンロールナンバーも、と結構ヴァラエティに富んではいるが、どうしようもなく全体的にメランコリックな感じは拭えない。この全体を支配する甘いメロディのせいなのか、どの曲でもリヴァーヴのかかっているように聴こえる彼女のヴォーカルのせいなのか、いまいちはっきりとはしないのだが、ひとつだけ言えるのは、只者ではない作品だ、ということである。そう、意外にこういうアプローチの女性ヴォーカルものがなかったので非常に嬉しいし、新鮮である。時折唸りをあげるへヴィなギターも、どこか夢見心地な、そんな不思議な作品。こういうアルバムとかに出会ってしまうと、まだまだ新譜聴くのがやめられないわけである。