Down In Mississippi

さて、連休の谷間にこうして普通に仕事しているのであるが、やる気はなかなか出ないものであるなあ。

と連休のせいにしているが、果たしてこれまでやる気があったのかどうか、とそういう鋭利な刃物で抉るような質問をされたら、ちょっとそれはなかなかに答え辛い質問である、としか言えない。

とは言え色々なことを連休のせいにできるからこの時期、不思議と気持ちが楽である。ただ、この気持ちの楽さが連休によって生じているのだとすれば、連休が終わってしまった来週は、かなり落ちることになってしまいそうである。全ての免罪符が失われてしまったような感じになってしまうのであろうか。

ということで今年も五月病には気をつけていこうではないか、と思うのだが、もしも本気で五月病をなくしたいと思うのならば、国全体が休日を良い感じに各月にバラす、とかそういう工夫が必要であろう。この連休の並びでは寧ろ積極的に五月病になる人を増やしたいのでは、と訝しく思ってしまうような、そういう具合であるからにして。

Mavis Staplesの「We'll Never Turn Back」を聴いてやる気を出して行きたい。Staple Singersデビュー時にはまだ11歳だった、とかそういう話も聞く彼女の最新作である。しかもANTIからのリリースである。ANTI、相変わらず突き抜けてるなあ・・・。The LocustMavis Staplesがレーベルメイトになる日が来るとは全く想像もしていなかった。今作はRy Cooderプロデュースで、演奏にもCooder父子、Jim Keltner等が参加している。トラディショナルナンバーとオリジナル曲が半々くらいの割合で入っており、耳馴染みのある曲も結構聴ける。しかし、この全体的に硬質な、若干ドロリとした音の感触が実に不思議である。打ち込みのドラムスは使っていないはずなのに打ち込みに聴こえる曲もあったり、色々いたるところに耳を引く仕掛けが施されていて実に面白い。Ry Cooderの新作の土っぽい感じと彼の前2作のモダンな感じが上手い具合に絶妙に混ざったような、そういうナイスなプロダクションである。とは言え、まずはMavisのあっついヴォーカルが何よりも一番のポイントである。彼女の歌が上手いのは当然なわけで、それが深く表情豊かに、良いプロダクションの音の上で歌われているのだから、傑作でなくして何であろうか、と言う感じである。公民権運動についての彼女の意見とかもライナーに書いてあるし、何よりゴスペル臭が大変強く、半端な気持ちで聴いてはいけない、という思いもあるが、単純に凄く良いなー、とも聴ける、そこが大事なのである。にしてもBob Dylanの「Time Out Of Mind」にも通じる、硬質な、ドロリとした音の感触は嫌いになれないものだなあ。